暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
27.反撃の狼煙
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島が軋む。鉄同士がこすれ合う不快な音が、絶え間なく響いて、不規則な震動で大地が震える。
太平洋上に浮かぶ人工島である絃神島を支えているのは、魔術だ。ビルに使われている鋼鉄も、セメントも、プラスチックのすべて魔術建造物だ。
それらの魔術が一斉に無効化されたらどうなるかなど誰でもわかることだ。
「痛ェな……」
暁古城は、紗矢華に頬を叩き続けられて目を覚ました。しかし腹部から伝わってくる激痛に古城は苦痛の声を洩らす。
「──暁古城! 目が覚めたの!?」
苦悶する古城に気づいて紗矢華が叫ぶ。
仰向けに倒れる古城に跨って、平手で頬を叩き続けたのは紗矢華だった。彼女の目には大粒のしずくが零れ落ちていく。
「煌……坂……ここは……?」
古城の声は嗄れた声だった。
まだ落ち着いていない紗矢華に変わって彩斗は答える。
「フェリーターミナルの医療室だ。……一応生きてたみたいだな古城」
「ああ……なんとかな」
古城は弱々しく苦笑した。フェリー乗り場は、ヴァトラーの船が停泊していた大桟橋の目と鼻の先だ。
あれほどの戦いがあって壊れていなかったのが不思議なくらいだ。
「とりあえず、これからどうするかだな」
薄暗い医務室のドアを背にしながら彩斗はうつむく。この医務室にいるのは彩斗と古城、紗矢華だけだ。雪菜やサナ、友妃の姿はない。
この状況は相当まずい。
仙都木阿夜が起動した闇誓書によって、“魔族特区”内の異能はすべて消滅させられた。
その結果、古城と彩斗の吸血鬼の力は失われた。世界最強の吸血鬼である古城ならば阿夜の“守護者”に刺された負傷など、とっくに完治しているはずだ。
さらにこのままでは、絃神島の魔力が失われて最終的に崩壊することになる。しかしこの状況で彩斗にはなにもすることはできない。
「──血!」
紗矢華が唐突に古城に向けて怒鳴る。
「え?」
「吸いなさいよ、ほら! あなた、前に死にかけたときに、雪菜と王女にそうやって助けてもらったんでしょう!?」
制服のリボンとシャツの第一ボタンを外して、紗矢華が言った。その光景を見て、彩斗は慌てて医務室のドアを開けて飛び出した。
医務室の中から涙声で怒鳴る紗矢華の声が聞こえる。
確かにこの状況で吸血衝動が起きれば、魔力は回復することになる。しかし吸血鬼の力が失われているこの状況では吸血衝動が発動するかどうかも危うい。
それでも、今できることをやることが彩斗たちに与えられた一つの選択肢だ。
暗闇の覆われる空を彩斗は仰いだ。大地が軋む音がする。崩壊していく音だ。この音を聞いても彩斗はなにもできない。自分の無力さに悔しさがこみ上げてくる。
「どうやら間に
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