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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百八十一話 異常なる姫
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と言えるのではないかしらね?」

「しかし、民衆の弾圧を行った事は事実でしょう、それを肯定することは出来ないではないですか」
そう言われたテレーゼは不逞する事もせずに答える。
「そうね、大帝のやったことを否定はしないわ。けどスターリンも毛沢東もポルポトも皆やっている事だわ」

否定しないと言われる事でヤンも鉾先が鈍る。
「けどね、先ほども言ったけど、民主主義の名の下に徴兵を行い多くの市民を死地に追いやりながら自分達は汚職して贅沢三昧、選挙票欲しさに民衆に迎合し主戦論を言うだけの存在など果たして市民の為と言えるのかしら?」

「それは、為政者を選ぶ市民の問題でもあるんですが」
「そうでしょ、其方の選挙投票率は50パーセントを切るそうじゃない、権利を与えられながら行使しないで政治家が悪い政府が悪いと騒ぐだけ、そんな風に騒ぐなら率先して選挙へ行き反対票を投じれば良いのでは無いかしら?」

「それは……」
意外にもテレーゼが民主共和制の悪い点を指摘してくる為にヤンも驚きが隠せない。
「それを、どうせ自分が投票しても何も変わらない、自分一人ぐらい投票しなくても平気だと選挙に行かずに放置する。まあ尤も其方には憂国騎士団という政治屋とベッタリな組織が有るから、反対派の襲撃とかはお茶の子さいさいでしょうからね。焚書とかして言論の自由を暴力で押しとどめるなんて、何処が民主共和制なのかと疑うわね。嘸やアーレ・ハイネセンはあの世で嘆いているでしょうね」

グリーンヒルもヤンもキャゼルヌもあまりの事に驚愕し続けた。
「殿下は其処までお知りとは」
「ええ、敵を知り己を知れば百戦危うからずと言いますでしょう」

その様な事を言われたヤンは未だにテレーゼを恐ろしい存在と感じて居た。


テレーゼの挨拶が終わると、代表団は艦に戻り帝国側の嚮導艦の案内でイゼルローン要塞を離れ、20光秒離れた艦隊へと合流し一路ハイネセンへと向かうように見せかけヴァンフリート星域へ向かった。



宇宙暦794年 帝国暦485年12月27日

■銀河帝国イゼルローン回廊 イゼルローン要塞

「終わったようね」
「はっ、此で後は待つだけです」
テレーゼの言葉にケスラーが応える。

「殿下、あまり無茶を為さいますと問題が生じますぞ」
エッシェンバッハがルドルフ大帝や帝国貴族のことを比喩したことで後で大変な事になるのではと、心配する。
「元帥、あの話はオフレコだわ、したがって同盟側が私の意見だと言った所で誰も証人にはならないわ、何と言っても、殺人犯が警官を犯人だというような物でしょう。誰も信じないわよ」

此も謀略の一環と、あっけらかんとテレーゼは言うが、エッシェンバッハにしてみれば、陛下よりお預かりした皇女殿下の無茶振りに白髪が増える心境
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