第百八十一話 異常なる姫
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の艦隊には其方の地方政府高官や軍上層部ととぐるになってサイオキシン麻薬密売を手がけていた参謀長が乗っていたのですよ。あんな連中の捕虜になっていたらお美しい御令嬢ですから、今頃はサイオキシン麻薬漬けにされた上に何処ぞの貴族かその高官の愛奴にでもされていたかも知れませんわ」
サラッと驚愕の真実を告げるテレーゼにグリーンヒルの顔が強ばる。
「それは事実なのでしょうか?」
「ええ、此処の証拠がありますわ、帝国政府としては“一部の不逞の輩が起こした行為でも誠に遺憾の意である”との考えですので、関係者は処刑を含めて厳しく処罰致しましたわ。その者達が其方の地方政府高官と警備隊高官の関与を示す供述をした上で、証拠まで手に入れましたのでお渡ししますわ」
あの事件にそれほどの事が有ったのかと、グリーンヒルは驚愕しながらも顔に出さずに謝意を述べる。
「資料の提供ありがとうございます。早速調べさせてましょう」
「老婆心ながらご忠告するのだが、情報漏洩にはくれぐれも気を付ける事ですね」
「ご配慮感謝します」
「それと、勘違いして貰っては困りますが、帝国は其方に悪魔の薬などを蔓延させることは決してありません、元はと言えば同じ臣民同士、皇帝と言えば親同然、臣民と言えば子同然、親が子に麻薬を渡す訳がありませんから。現在其方で流通しているサイオキシン麻薬は帝国が製造している物では有りませんので」
そう言われても、グリーンヒルとしては信用できないと言う感覚ではあったが此処で事を起こすことも出来ないと考え再度謝意を述べた。
「殿下のお言葉を真摯に受け取りましょう」
グリーンヒルの答えに満足したのか、テレーゼはにこやかに話す。
「それは良かったですわ」
その夜に資料の照査を行った結果、ほぼ事実である可能性が高いと言う結果が出た為に、複雑な思いでテレーゼに挨拶していたのである。
同じ様に、ヤンも複雑な表情で応対していた。此方はグリーンヒル総参謀長より遙かに人間が出来ていないので、テレーゼに対して言いようのない恐怖を抱いている事が在り在りと滲み出ていた。
グリーンヒル総参謀長、キャゼルヌ准将と共に話をしたのであるが、グリーンヒル総参謀長とテレーゼの話で驚愕した上に、パーテーでの辛辣な話で恐怖を抱いているにもかかわらず、更に辛辣な言葉が述べられた。
「ヤン准将、其方はルドルフ大帝を簒奪者と言うけれど、大帝を政治の世界へ引き入れたのは選挙で大帝を当選させた銀河連邦の有権者であり、終身執政官になったのも、皇帝になった事さえ、民衆の歓呼の中だったわ。言ってみれば民衆が大帝を求めたのであり、大帝が武力を持ってクーデターで政権を手に入れたのでは無い訳よね。ナポレオンしかり、ヒトラーしかりよね。彼等とルドルフ大帝がどう違うか、所詮主義主張は千差万別
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