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【一発ネタ】レイフォンに憑依したオリ主が上から目線で原作をぶっ壊すお話
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に悲劇は繰り返される。戦争を忘れた世代と、知ろうともしない世代が故人の血と涙の結晶を紙束と引き換えに叩き売りすることで。――――これらの一連のプロセスを終わらないワルツに(なぞら)えた者は、全く大した詩人である。

 または、反吐が出るような人種差別を端緒にして事実上無効化された高校無償化問題や、地方自治体(行政)による生活保護者への迫害を思い返してみるのも良いだろう。そこにあったのは財政の危機ではなく、むしろ尊厳の危機だった。見下す側も、見下される側も、胸を張って生きてゆくことなど到底望めない不寛容な社会の貌が、うっすら見え始めていた。直言すればそれは相互理解と相互認知――他者への共感を柱とした民主主義国家の崩壊する音ではなかったか。

 閑話休題。そのようにして一連の事態は進行したのだが、しかし王制を敷くグレンダンにおいては、最終的には弱者保護の精神を持たないアルシェイラの手で犠牲が確定したのである。もっとも、『原作のレイフォン』はそこまで理解を及ばさなかったわけだが。何れせよ「貨幣(という名のケツを拭く紙)を持たない」なんてぇクソ戯けた理由で一方的に家族の死を押し付けられたわけだから、当時の幼い彼が拝金主義の弊に陥ったのも(むべ)なるかなと言うより他にないだろう。レイフォンに言わせれば「彼は徹頭徹尾、無形の暴力に曝され続けた被害者」なのであった。

 そんなわけでレイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフはアルシェイラへの忠誠を持たない。彼が抱くのはアルシェイラへの疑心と反感であり、半ば必然的に天剣となったその翌日からほとんど日課のレベルでアルシェイラと口論を交わすようになるのである。

 その口論が、しばしば(レイフォンの)流血と(アルシェイラのOHANASHIによる)王宮の損傷を伴った"口論"が、人の口にのぼらぬはずも無く。それを承けて運命が奇妙な転変を行った結果、ミンス・ユートノールを旗頭としてレイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフも中核メンバーに名を連ねる反アルシェイラ派――後年の歴史家は彼らを影の内閣を呼称する――が結成されることになる。

 しかし、それはもう少し先の話。

 今日という日は天剣が揃った日、円卓に騎士が集っためでたき日。グレンダンに平和が充溢した、なにごともないその日なのである。





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