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銀河英雄伝説小話
ナイトハルト・ミュラーの災難U
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イエンタールは優雅に払い除ける。
「最近態度が大きくなってきているな、ミュラー。」
「それは、提督の勘違いかと思われますが。」
と、顔は笑っているが目は全く笑っていないミュラー。
この中でミュラーがシスコンと思った人は果たして何人いただろうか?
険悪なムードを除去する為になんとも気のきくファーレンハイトはすぐに話題を提供する。
「取り敢えず、カメラとメモリの中身を確認してみませんか?」
ただし悪い方にだが。
ルッツは全員の名誉にかけて、○○本をソッと箱の中に戻し、ヘネラリーフェの手が届かない所においた。
「では、早速。」
とファーレンハイトは言うと、メモリーカードを自身の端末に差し込み、ファイルを開いた。
入っていたデータもとい録音データは、『ダゴン会戦レポート』や『9/14艦隊運用について 1』、『夏休み明けまでの課題』など、至極まともな物ばかりだった。
「なんだ。たいしたものは入ってないじゃないか。」
とビッテンフェルト。
「確かに。」
と幾分拍子抜けした顔のミュラー。
「これは、一体どなたの物なのでしょうか?」
「見覚えのある奴は居るか?」
とルッツが問うが、皆首を横に振った。
「だが、俺達の誰かに関係があるのは間違いない。でなければ、あのクレメンツ教官が我々の所にわざわざ届ける筈がない。もうちょっと調べる価値はあると思う。」
とミッターマイヤー。
「ん?これは…」
「どうした、ファーレンハイト?」
「得体の知れないファイルがある。」
「開けてみろ。」
それを見た提督達はまたもや言葉を失ってしまった。中身は…そう……若気の至りとも言うべきものだろう。前に述べた物とはくらべものにならない破壊力をそれは誇っていた。





「これは……………皆さんの写真、ですよね…?」
ヘネラリーフェのその言葉に、名だたる提督達は死んだ魚のような目になっていた。
もう、隠す気力さえ、ない。
その写真は所謂、入学したての士官候補生の歓迎という名の手荒い『祝福』の紛れもない証拠であったのである。この祝福を受けることによってこそ、軍人にとって必要不可欠な「従順」の心が生まれることは皆重々承知だったが、これはあまりにもショックが大きすぎた。

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