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曇りの日に
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5.コンビニには入らず別の方法を考える。
「それでどうするの?」
 美輪が不機嫌な顔で決断を迫ってきた。
「コンビニに行くの?どうするの?」
「そうだね」
 その言葉を受けてまたコンビニを見る。だがやはり人が多くてどうしようもない様子であった。
「止めるよ」
 彼はそう決めて美輪に言った。
「やっぱり行かない」
「それはそれでいいけれど」
 美輪はそれを聞いて憮然とした声を返す。
「じゃあどうするの?雨は止みそうにないわよ」
「そうだね。じゃあ」
 ここでまた辺りを見回した。とりあえず別の方法がないか見回しているのだ。
「いいもの見つけたよ」
「何よ」
「ほら、あれ」
 そう言って道の方を指差す。そこには一台のタクシーが止まっていた。丁度お客さんを降ろしたところであった。
「あれに乗ろうよ」
「タクシーに?」
「うん、とりあえずね。あれだと雨には遭わないしさ」
「そうね。それじゃあ」
 美輪もそれに賛成してきた。こうして二人はとりあえずタクシーに乗って難を逃れることにしたのであった。
 その黒いタクシーに乗る。とりあえずはほっと安堵の息を漏らした。すぐに車の中に入った美輪は白いシートの上でとりあえずはハンカチで自分の身体を拭いていた。
「一安心ね」
「そうだね」
 強が彼女の言葉に答える。
「とりあえず雨はこれでいいわ」
「うん」
「けれどねえ」
 しかし美輪の不機嫌はそれで収まったわけではなかった。それは声ではっきりとわかる。
「あちこち濡れたままよ。服も髪の毛も」
「僕も」
「ハンカチなんかじゃ拭ききれないし。どうしようかしら」
「僕のハンカチ使う?」
 そう言って強は自分のハンカチを差し出してきた。青いハンカチである。
「よかったらさ」
「それだと強君が困るでしょ」
「けれどさ」
「駄目よ。今はいいけれど後で風邪引くわよ」
「だけれど」
「それは強君が使って」
 美輪はあくまでそれを受け取ろうとしなかった。そしてこう言ってきた。
「いいわね」
「うん、そこまで言うんなら」
 彼はその言葉を受けることにした。だがそれでも二人が濡れたままであるというのは変わりがなかった。どちらにしろこのままでは風邪を引いてしまうのは目に見えていた。
 その時だった。運転席にいる運転手さんが声をかけてきた。
「それでどうします?」
「えっ」
 二人はその言葉にはっとした。それで運転手さんに顔を向けた。
「何処に行くんですか?」
「あっ、そうか」
 タクシーに乗っているのだ。だとすれば何処かへ行くしかない。
「ええと」
 実は強はそこまで考えてはいなかった。困った顔になる。
「どうしよう」
「それじゃあ」
 だがここで美輪が運転手さんに言って来た
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