暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
26.闇の侵蝕者たち
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キーストーンゲートのEエントランスには激しい戦闘の後が残っていた。路面にしかれるアスファルトは砕け散り地割れが起きたようになっている。さらには穴まで空いてしまっている所までもある。アスファルトの溶解された嫌な臭いが鼻につく。
「すごいことになってるみたいね」
辺りを見渡しながら美鈴はこの場所でつい先ほどまで起きた惨劇に目を向ける。
特区警備隊
(
アイランド・ガード
)
主力部隊が壊滅状態に陥れられるほどの者など考えられるだけも数少ない。
監獄結界の脱獄囚、あるいは……
「派手にやってくれたわね、蛇の坊や」
「ボクなりには手加減したつもりつもりだヨ」
なにもない虚空から、気障な響きの声が聞こえてくる。風に乗って集まってきた金色の霧が白いコートを着た青年の形を作っていく。ディミトリエ・ヴァトラーだ。
「唯ちゃんの身に何かあったら私はあなたを許さなかったけど今回は貸しにしたあげるわ」
美鈴は壁に背を預けてぐったりとしている二人の少女を横目で見ながら言う。
不意にきた礼の言葉にヴァトラーはわずかに眉を動かす。
「“電脳の姫”に貸しを作るのは悪気はしないね」
ヴァトラーは笑ながら答える。
「でも……」
美鈴はヴァトラーとは対照的な真剣な表情で睨みつける。
「彩斗くんに手を出すなら私は許さないわよ、蛇の坊や」
「……」
少しの沈黙の後にヴァトラーが不敵な笑みを浮かべる。
「今は手を出す気はないから安心してくれ」
今は、という言葉に引っかかったが美鈴は皮肉を言うように言葉を返す。
「まぁ、真祖殺しが本気を出したらあなたなんて一瞬だけどね」
美鈴は唯とアスタルテが眠っている方へと近づいていく。
最後にヴァトラーの方を一瞥し、小さく呟いた。
「あまり“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”たちをあまく見たら痛い目見るわよ、ディミトリエ・ヴァトラー」
蛇遣いはわずかに身を震わせる。
「心得ておくよ」
その言葉を残し、ヴァトラーは虚空へと姿を消滅させるのだった。
港湾地区
(
アイランド・イースト
)
の大桟橋に、その船は悠然と停泊していた。
豪華客船の船内に居心地の悪く立ち尽くしたままの古城と彩斗だった。
古城の手には携帯電話が握られている。
電話の相手は雪菜のようだ。
大方、こちらから連絡しなかったから心配になりかけてきたのだろう。
「いや……まあ、成り行きで」
古城の声から雪菜たちが怒っているのが伝わってくる。
それもそうであろうな。彩斗たちが現在一緒にいるのはヴァトラーだ。その時点で心配しかないだろう。
雪菜たちからの説教を受けている古城の肩に手を起き一言
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