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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
26.闇の侵蝕者たち
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が、コックピットの中で深々とお辞儀する。
「拙者、リディアーヌ・ディディエと申す。モグワイ殿に頼まれて、お迎えに参上したでございます。いや、それにしても素晴らしい着物でござるな。さすがは女帝殿!」
「や、着物っていうか、ただの浴衣なんだけど……」
深く考えることに疲れたのか、浅葱が憮然とした表情で呟いた。
「……おまえの友達も、何気に濃いの多いよな」
「や、友達じゃないし、あんたにだけは言われたくないわよ」
浅葱がふて腐れたように低い声で言い返した。
その時だった。水が跳ねる音が後方で響いた。振り返ると埠頭の端から真っ黒な何かが這い上がってくる。
古城は咄嗟に浅葱の前に出る。
だが、海面から現れた者の声を聞いて古城は気が抜ける。
「クッソ、あの野郎。なにしやがったんだよ」
いつもの整えられずに寝癖が立っている髪が水でおりている漆黒のコートを纏った緒河彩斗だった。
「あいつが一番、濃いな」
「そうね」
古城と浅葱の考えが一致したのだった。
「彩斗君!」
友妃が海面から上がってきた彩斗に飛びついた。
彩斗は再び、海に落ちそうになるのを必死に堪えていた。
だが、友妃はよほど心配だったのかずっと彩斗に抱きついている。
それを見て浅葱は少し、複雑そうな顔を浮かべる。
「とりあえず、女帝殿。力を貸してほしいでござる」
リディアーヌの言葉に浅葱は眉を寄せた。
「行ってくれ、浅葱」
「彩斗?」
友妃に抱きつかれたままの状態で真剣な表情で浅葱に言う。浅葱は困惑したように目を瞬く。
「那月ちゃんは俺たちが守るから。浅葱は島を頼む」
全く話を聞いていなかったはずの彩斗は状況を理解している。
「……わかった。いいわ」
浅葱が静かにうなずいて、抱いていたサナを古城へと預けた。
「その代わり、約束してよね、彩斗。この騒ぎが終わったら、祭りの続き、ちょっとでいいからあたしに付き合いなさいよ」
リディアーヌの戦車がマニピュレーターを伸ばして浅葱を抱き上げた。
その状態で浅葱は彩斗に叫んだ。
「ああ、どこでも付き合ってやるよ」
巨大な竜巻にも似た不可視の刃が、大気を軋ませて落下してくる。
それを真っ正面から受け止めたのは、不可視の壁だった。
ドレッドヘアの青年がさらに苛烈な攻撃を繰り出す。
「なんだ、テメェは? なにをしてやがる!?」
「自分で考えろよな。チビ」
確かにこの少年がどうやって止めているのか全く紗矢華もわからなかった。
“煌華麟”のように擬似的に空間の断層を作っているのだろうか。しかし少年が何かの術式を組んでいるようにもみえな
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