暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
26.闇の侵蝕者たち
[8/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
船の上では、ヴァトラーと脱獄囚が激しい戦闘を続けている。
 古城はサナを抱き上げたままタラップを駆け下りた。そんな古城と浅葱を出迎えたのは、銀色の武器を持った二人のナース服の少女だった。

「先輩、ご無事ですか」

「浅葱ちゃんも大丈夫そうだね」

「え? 姫柊、逢崎──!?」

 思いがけない場所で待ち構えていた雪菜と友妃に、古城は焦る。
 ここで彼女達の存在はありがたい。問題は、ここに浅葱がいることだ。
 しかし浅葱の注目は二人が持っている武器ではなかった。

「……なんでナース服?」

 場違いな二人の服装を見て、浅葱が不機嫌そうに眉を寄せる。

「え、これは……その、深森さんが用意してくださったもので……」

「深森さんって、古城のお母さんの?」

 浅葱の表情がますます警戒をます。

「ねぇ、彩斗君はどこ行ったの!?」

 友妃は古城へと詰め寄ってくる。

「いねぇのかよ。俺らはてっきり、逢崎たちと合流したもんだと」

 彩斗が行方不明となった。彼を古城が把握しておらず、友妃たちも把握していないということは、まだ船内に残っている。それか考えられることは脱獄囚の誰かと戦っていることになる。
 だが、戦闘の音は船内からのヴァトラーの音でかき消されている。
 その考えの中、表情を凍らせた。
 ヴァトラーたちの戦闘に巻き込まれて破壊されたクレーンが、破片を撒き散らしながら古城たちの方へと倒れてくる。

「──やばい、伏せろ、三人とも!」

 古城は浅葱たちを地面に庇うように押し倒す。魔力を無効化する槍も刀も質量は無効化できない。落下範囲から逃げれる時間もない。
 眷獣を呼び出して吹き飛ばすしかない──が、はたして間に合うのか?

 古城が絶望的な思いで唇を噛む。そんな古城の目前で、落下してくるクレーンが、横殴りの水流に軌道を変えた。

「え!?」

 粉砕されたクレーンの破片が、古城たちへと降ってくる。
 だが、それさえも水の盾が防ぐ。
 その攻撃に古城は覚えがあった。それは、“神意の暁(オリスブラッド)”が従える眷獣の一体だ。しかし姿が見えない。

「拙者が出る出番はなかったようですな」

 時代劇の侍を連想させる、奇妙な声が聞こえてくる。
 顔を上げると超小型有脚戦車(マイクロロボットタンク)がそこにいた。
 戦車の甲羅部分が開いて、その中から顔を出したのは、推定年齢十二前後の女の子だった。
 赤い髪を持つ、外国人の少女だ。
 放心したような表情で彼女を見上げていた浅葱は、途中でハッと我に返る。

「その喋り方って……あんた、まさか“戦車乗り”!?」

「然様。リアルでお目にかかるのは初めてでござるな、女帝殿」

 赤い髪の少女
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ