志乃「機材買おうか」
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ってるんだな。
「その、あれだ。志乃からお前が同じクラスの女の子とデートするって聞いてな。緊急会議を開いたんだよ」
は?デート?おいおい、俺はそんなつもりで五十嵐とカラオケに行ったわけじゃないぞ。志乃の奴、ガセネタ話しやがって。あいつが俺達と一緒に来なかったのはこれが理由か?
だとしたら、これ、俺に対する嫌がらせ以外何も無いじゃん。
「まさか恋愛経験イコールこれまでの生涯だった伊月が、この時期に彼女を作るわけが無いって私は言ったんだけどね。志乃が『それは無い。兄貴はモテる』って言い張って」
母親よ、あんたは俺の事よく分かってる。マジで嬉しい。冒頭の部分は少し悲しいけど。にしても、志乃め、どこまで俺をいたぶるつもりだ……?
「私にゃ、そんなミミズのうんこ同然な出来事にカラーボックス研究の時間を邪魔されたくなかったんだけどねぇ」
……あんた、実の孫に向かってすげぇ事言うな。怒りや悲しみを通り越して呆れるわ。
で、問題の志乃は、
「私は包み隠さず事実だけを話した」
「お前が全部を拗らせたんだよクソ野郎!」
かくして、俺が全てを偽り無く話し、志乃が嘘を吐いていた事をはっきりさせて、この問題は幕を下ろす事になった。全く、あいつの突発的な嫌がらせにも程があるっての。つか、妹からバカにされる兄ってどうよ。俺、志乃の弟じゃなくて本当に良かった。
*****
次の日。四月も中旬に入り、春の陽気が増すこの時期は、花粉がピークを迎えている。俺は目の消毒やコンタクトで何とか花粉症の被害を最小限に抑えている。しかし、一回だけ目の痒みに耐え切れず、思いきり目を掻いてしまった事があった。そうしたら、次の日に目あにで目が開かなくなるという異常事態に飲み込まれ、俺のトラウマ認定第七号となった。以後、俺は何が何でも目を掻かないようにしている。
そんな、俺にとっては天敵とも言える存在が襲来している春に、俺はいつものようにコンタクトとマスクを付けて外出している。昨日志乃に言われた通り、カラオケをしに行くのだ。
最初、志乃は冗談交じりに言ったのか、「めんどくさい」と言って拒否していたのだが、俺が課題曲を聴いてほしいと言ったら無言で承諾してくれた。そういう真面目な話はふざけないのだ。
俺は前の経験を生かしてジャージを着る事は止めたのだが、志乃の体操服普段着状態はいまだに改善されない。本人は「これこそが私の個性」だとか訳の分からん事を言っている。簡単に言えば私服が好きじゃないのだろう。女子なのに変わってるよな。
いつも通りと言えばいつも通りの変わった組み合わせだが、俺達はそれにとっくに慣れてしまっているため、こういう時は周りの視線が気にならない。むしろ制服着て歩いてる時の方
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