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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第二章 クワトロ・バジーナ
第二節 木馬 第二話 (通算第27話)
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宙軍の殆どが海軍閥であはある。しかし、一年戦争によって派閥は大きく変化した。保守派と改革派に分裂した。しかも、その改革派の領袖は陸軍閥出身のレビル将軍だった。海軍閥で見識高いティアンム大将はレビル大将と組んで、宇宙軍の改革を押し進めることに成功した。モビルスーツの開発とモビルスーツ搭載型改造艦の配備――二人が宇宙軍に残した功績は大きい。しかし、それは反動を含んでいた。
 ジーン・コリニー大将とジャミトフ・ハイマン准将である。
 改革派の両巨頭が戦死すると、海軍閥の改革派は強硬派のコーウェン中将と穏健派のグリーンワイアット大将の二派に分裂した。穏健派と結びついた保守派のコリニー大将はコーウェン中将を失脚させる為に『デラーズの乱』を利用し、グリーンワイアット大将が都合良く戦死すると、コリニー大将とハイマン准将の保守派が宇宙軍の主流派となっていた。
 モビルスーツ工場は無重力ブロックである。通路をグリップもなしに泳ぎ、工場内は喧噪に充ちていた。
「見せたかったのは、実はこっちの方なんだ」
 工場内にはアナハイムのジャケットを着たスタッフに混ざって、シャアにもなじみ深いツィマッドのジャケットを着たスタッフが少なからず働いていた。その向こうには、重々しいツィマッド社製の流れを汲むモビルスーツが並ぶ。
「これは……?」
 それは一年戦争中にツィマッドが開発した重モビルスーツ《ドム》の外観に似た新型モビルスーツである。外装を剥がされてはいるが、シャアとて素人ではない。構造と全体の印象からツィマッド製であることを見て取れる。
「アナハイムがツィマッドから譲り受けたモビルスーツだ。なんでも、ライセンス生産を行うらしい」
(ということは裏で共和国政府を動かしたか……准将ではない。誰だ…?)
 シャアはコーウェン准将とジオン共和国政府の繋がりまでは知らなかった。考え込んだシャアを見ながら、ブレックスはその政治観の鋭さに確信めいたものを感じていた。
「ところで大尉。この重モビルスーツにはまだ名前がないのだよ」
「そうなのでありますか?」
 事実である。ツィマッド社が開発したモビルスーツは《ドワーズ》という仮称があるに過ぎず、《ドワーズ》はジオン共和国軍に制式採用が内定していることもあり、外装の変更をしなければならなかった。アナハイムで開発していた《γガンダム》からグライバンダーやショルダーアーマーなどを流用することにしていた。アナハイムとしては頓挫した計画であっても《γガンダム》というネーミングで行きたかったのだが、ツィマッドから名称変更を打診されているのだという。
「そこで、大尉に命名してもらいたいのだ」
「なるほど……」
 これにはシャアも苦笑せざるを得ない。見るからにツィマッド社製と判るモビルスーツに《ガンダム》の名は相応しくない。ましてや、ジ
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