第八十二話 近付く卒業その十一
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「雑炊よ」
「おじやなの」
「まあお粥って名前だけれどね」
「そうなの」
「テスト勉強してるからね」
だからとも言うのだった。
「及第粥作ったのよ」
「それどんなお粥、じゃなかった雑炊なの?」
「中国の雑炊でね」
中国の粥は米だけではない。中に具を入れたりもする。日本で言うと雑炊だが中国では粥になるのである。
「中に豚の内蔵を入れてるのよ」
「それが及第粥なのね」
「他には鶏を一匹丸ごととかお刺身とかも入れるらしいけれど」
「何かややこしそうね」
「けれどお母さんが作った及第粥はね」
それはというのだ。
「豚の内蔵を入れたね」
「そうした雑炊なのね」
「癖があるけれど」
「美味しいのね」
「しかも豚の内蔵だから」
「身体にいいのね」
「生姜やお葱も持って来たから」
薬味である。
「そうしたものも入れて食べてね」
「うん、じゃあね」
「とにかくね」
「お勉強もまずは食べることからなのね」
「腹が減っては、っていうでしょ」
「それでなの」
「そう、これも食べて」
そして、というのだ。
「皆で頑張ってね」
「わかったわ、じゃあこのお粥食べるわね」
彩夏が答えてだ、そしてだった。
全員でその及第粥を食べた、琴乃はその粥を一口米と豚の内蔵を一緒に食べてからそのうえで彩夏に言った。
「うん、このお粥ね」
「美味しいわね」
「ええ、かなりね」
そうだと答えた琴乃だった、やはり食べながら。
「いい感じよ」
「確かに癖があるけれど」
豚の内蔵のだ、それは確かにあった。
だがそれでもだ、そうしたことも含めてだった。この及第粥は。
「美味しいわ」
「それにこれだとね」
「豚の内蔵に薬味もあるから」
「体力つくわね」
「かなりね」
「及第っていうと」
里香も食べながら言う、その粥を。
「中国の科挙のあれよね」
「ああ、あのお役人になる試験よね」
景子が里香のその話に応えた。
「何か凄い難しかったのよね」
「普通の大学入ることよりもね」
「まだ難しかったのね」
「そうらしいのよ、その試験に合格することがね」
「及第っていったのね」
「さっき彩夏ちゃんのお母さんも言ってたけれど」
その彩夏の母の話も話された。
「その試験に合格する為に体力をね」
「それをつけて頑張る為に食べてたのがこのお粥なのね」
「そうなるわ」
「そうなのね、だから彩夏ちゃんのお母さんも私達に作ってくれたのね」
「試験だからね」
科挙とは違うがだ、試験は試験だからだというのだ。
「作ってくれたのよ」
「そういうことね」
「そう、それじゃあね」
「このお粥食べてね」
「頑張ろうね」
「こういう時のお粥って美味いんだよな」
美優も食べつつ言う、しか
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