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万華鏡
第八十二話 近付く卒業その九

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「私別に」
「いや、成績は本当にいいじゃない」
「もっと言えば教え上手よ」
「私達の成績里香ちゃんと友達になってよくなったから」
「さらにね」
 そうだとだ、二人はその里香に笑顔で返した。
「だからね」
「頼りにしてるから」
「けれど二人共あまりさ」
 美優がその二人に言った。
「成績普通だっただろ」
「まあそれはね」
「赤点取ってないし」
「実際私成績クラスの真ん中だし」
「私もね」
「だから前からそんなに困ってないよな」
「それ美優ちゃんもじゃない」
「景子ちゃんだってそうだし」
 実は四人共成績は悪くはない、少なくとも学校の成績のことで誰かに何かを悪く言われる程ではないのだ。
「けれどなのよ」
「前よりもよくなったから」
「だから里香ちゃんに感謝してるの」
「教えてもらった結果だからね」
「まああたしもだけれどさ」
 かく言う美優もだった、里香と知り合ってから成績がよくなった。それでこう言ったのである。
「里香ちゃん凄いよ」
「何かそう言われると」
 気恥ずかしい顔になって言う里香だった。
「私褒められるの苦手だから」
「ああ、じゃあ言わないな」
「そうしてね」
「それじゃあな。まあとにかくテストもさ」
 期末テスト、それをだというのだ。
「いい結果で終わりたいしな」
「そうしたら一年を気持ちよく終われるからね」
 景子がその美優に言った。
「だからよね」
「そう、だからだよ」
「それじゃあね」
「ああ、絶対にな」
 いい成績を取ろうと言うのだった。
「それで卒業ライブもさ」
「気持ちよくよね」
「やろうな」
「その為にもね」
「勉強頑張ろうね」
 琴乃と彩夏は今も里香の日本史の教科書を見ている、そのうえで要点をチェックしながら言うのだった。
「皆いい点取って」
「卒業ライブに入ろうね」
「三月もなあ」
 一年度の終わり、この月もだった。
「あっという間なんだろうな」
「テストが終わってすぐに卒業式だから」
 里香が美勇に答えた。
「それこそね」
「それで卒業式が終わったら」
「終業式でね」
「春休みか」
「多分七月よりもね」
「時間経つの早いか」
 美優は里香の話を聞いてしみじみとした口調で言った。
「やっぱり」
「相当にね。中学でもそうだったよね」
「ああ、あの時だってな」
「だから多分ね」
「この三月もあっという間か」
「すぐに終わると思うわ」
「それで二年か」
 美優は学年も述べた。
「遂に」
「私達もね」
 里香は美優にこのことについても答えた。
「そうなるわ」
「留年しないとな」
 この条件はだ、高校ならば絶対に思うことだった。中学までならともかく高校にはこうしたものがあるのだ。
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