2ndA‘s編
第十話〜闇の帳〜
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に目を向けた。
身体の芯は暑いのに、指先は酷く寒く、冷たく感じる。
(ああ、そうか)
集中力が増したせいか、ゆっくりと感じる時間の中でクロノの意識は納得した。自分は彼女たちを守りきったところでリタイアだ、と。
その考えに至ると、彼はこの事件で何かを咎めるのではなく、誰かを助けることを結果として事件を終えることに納得してしまっていた。
だから、この後の展開は彼にとって本当に埒外もいいところである。
「その覚悟と物事に対する姿勢は良いけど、もう少し視野を広く持ったほうがいい」
そんな言葉が聞こえると同時に、クロノは襟首を掴まれ引っ張られる感覚を覚える。
「え?」
間抜けな声が漏れる。そしてそれと同時に自分を支えていた足が呆気なく傾いていき、そのまま尻餅をついてしまった。その拍子になけなしの魔力で展開した障壁は霧散したが、それを認識できるほどクロノの思考はまともではない。
急に動いた視界にキョトンとする中、クロノの視界には灰銀の髪を持つ男性の後ろ姿が写りこんでくる。
「セットアップ」
「イエス マイ ロード」
短く呟かれる命令と応答の言葉。それと共に現れるのは、救いの声に応え、世界を超えた王。
その王、ライは両手でデバイスであるMVS状態の蒼月を掴むと、向かってくる血の刃に向け構えた。
「っ!」
踏み込むと同時に迫ってくる刃を切り散らす。否、正確には幾本かを切り散らすと、それによって生じた爆風で勢いが減衰した刃を逸らすように押し投げる。
そうして軌道が変化した刃は未だに向かってくる他の刃とぶつかり爆散する。そして新しく生み出された爆風を利用し、また同じことを繰り返していく。
傍から見れば曲芸どころか正気を疑われるような行動。
それをライはマルチタスクによる軌道計算と物体の位置把握、そして自前の反射神経を最大限活用することでやってみせた。
もう数えるのも億劫になるような回数の爆発が止むと、そこでは肩で息をしているライと、その光景を呆然と見上げる格好となっているクロノがいた。
(痛っ!………………負担が思ったよりも大きい)
この場所まで全力疾走をしてきた事と、今の迎撃で上がりきった呼吸を整えていると、ライの頭に痺れるような痛みと圧迫感が押し寄せてくる。
その痛みは、ライが先ほどの迎撃を行うことに使ったマルチタスクに原因があった。今回の迎撃はデバイスの補助なしでの使用だったのだが、その高速演算と情報処理が脳への負担が大き過ぎたのだ。
更に言えば、ライの肉体とリンカーコアは数時間前の蒐集により、少なくない負担を負っている。今現在はCの世界との繋がりを強固にし、魔力供給とそれによる損傷箇所の修復に当てている。もちろんその分の集合無意識の流入は
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