アカデミー編
大太刀
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っただとか、どんな名前だとか、どういう風に作られただとか、誰がカトナに渡すように頼んだだとか。そういうこと全部含めて、知らない。
カトナがこの刀を手に入れたのは、物心ついた時だった。
よく分からない男が、夢の中で自分に託してきたのだ。……男なのだろうか。それすらわからなかった。
ぼんやりとした、白い、ゆらゆらとした曖昧な存在が自分の名前を呼んで。そして、この刀を手渡してきたことしか、分からない。
何かをその人物に尋ねて、その人物から答えを教えてもらったはずなのに。気が付けば、自分の枕元にこの大太刀が置かれていて、その人物がくれた答えさえも忘れていた。
記憶力がよく、一度見た夢の内容すらも完全に覚えることが出来るカトナにしては本当に珍しいことに、ほとんど忘れてしまった。
覚えているのは、その人間が自分を呼んだことだけ。
――カトナ
ただ、その声を聞いた瞬間、その声で名前を呼ばれた瞬間、カトナはどうしようもなく悲しくなって。それ以上に、どうしようもなく嬉しくなって、無性に自分を呼んだその人物に抱き着きたくなった。
会いたかっただとか、そんな、ありふれた言葉をぶつけて、その人物の胸で泣きわめきたくなるような、そんな思いにかられて。けれど、何も出来なかった。
それをしてはいけないような気がして、甘えてしまうのは許されないような気がして、カトナは俯くしかなかった。
その人物は、そんなカトナに優しく微笑んで、刀を手渡した。
使い方も何も教えず、ただ、カトナに刀を与えて。そしてもう一度、優しい声で呼んだのだ。
――カトナ
カトナは今度こそ、何もかも抑えきれないように感じて、感情が喉からぼろぼろと溢れ出ていくようで。それを耐えるように刀をずっと抱きしめて、その人物に向けて、何かを叫ぶことしか出来なかった。
何を叫んだのかさえ、もう覚えていないけれど。それでも、刀を渡されたときに触れあった体温だけは、憶えている。
あったかくて、優しくて、ふわふわしていたことだけは、憶えている。
カトナは青い鞘を愛しそうに撫で、金色に彩られた柄にナルトのことを思い出しながら力をいれる。
この刀が一体どんなものかは、カトナには興味がない。
ただ、この刀を渡してきた人物に報いるためだけに、カトナは刀を振り回す。
何故報いなければいけないのかも、何故その人物にそれほど報いたいかも、考えない。
ただ、振り回せばいい。振り回して倒せばいい。
ナルトを守れれば、それでいい。
黙って話を聞いていたネジは、カトナの腕の中のそれをじっと見つめていた。
一体どういう反応をすればいいのだろうかと迷いながらも、カトナは刀を持ち上げる。
「…使う?」
「いや、いい」
首を振ったネ
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