第十二章 妖精達の休日
第四話 見よ! あれが浴場の灯だ!
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方法でもいいからセイバーの鼻を明かしたかった。
だが、そんな方法はなく、誰もが諦め顔に死相が浮かび始めた―――そんな時である。
水精霊騎士隊の隊員の一人であるギムリがとあるモノを持ってきたのだ。
空中装甲騎士団が使用している天幕の一つで、最近では空中装甲騎士団の一部と水精霊騎士隊が溜まり場となっている場所へとやってきたギムリは、手に持ったとある図面を、何時も通りセイバーにボロボロにされ酒を飲んで管を巻いていたギーシュたちの前に突き付けた。
ギムリがギーシュたちに突き付けたその図面―――それは女風呂が設置されている本塔の図面であった。
ギムリが手に持った図面が女風呂が設置されている本塔のものであると説明を受けたギーシュたちは、困惑しながらも食い入るような目で図面に釘付けになった。その様子を確認したギムリは、不敵に笑いながら言い放った。
『今度の戦場は、とびっきりに熱いようだぜ』、と。
その瞬間―――漢達の瞳に暗い炎が灯った。
ありとあらゆる方法を試すも擦り傷一つ付けられず、どうにかして鼻を明かせないかと苦慮していた相手が、確実に無防備な姿を晒している場所へと続く道がその手に有る。
新たな戦場へ参加することを拒否する者は誰もいる筈がない。
そこからの彼らの行動は速かった。
本塔に設置された女風呂は半地下の構造で造られているため、覗くには陸路で接近するしか方法はない。しかし、その周囲には五体の屈強なゴーレムが常に守護し、それを何とか打倒したとしても、覗くための窓には魔法が掛かっており、風呂側からは見えるが覗く側からは見えないと言った代物で、しかも強力な“固定化”の魔法が掛けられていることから“錬金”で何とかすることも出来ず、例え可能だったとしても魔法探知装置があるため魔法は最初から使えない。
だが、変た―――漢達の手には本塔の図面がある。
おそらく本塔を作った技師の誰かが書いた図面なのだろう。図面には本塔に掛けられた“固定化”の詳細が記されており、それを見る限りでは、“固定化”が掛けられているのは地上部分だけで、土に埋もれた地下の壁石には掛かっていないようであった。
ならば男たちの取る手は一つ―――掘るだけだ。
さて、その変態て……壮大な反撃作戦の指揮を取ったのは、意外なことに空中装甲騎士団の団長でもギーシュでもなくマリコルヌであった。
何故マリコルヌなのかと言うと、それには深く大きな理ゆ―――変態だからである。
では何故変態のマリコルヌが指揮を取ることになったのか? 理由は単純―――打たれ強いからである。特に女性からの攻撃には強い耐性をマリコルヌは持っていた。ギーシュたちはこれまで
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