第十二章 妖精達の休日
第四話 見よ! あれが浴場の灯だ!
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回す。
「だがこの暗い闇の底で、あの女のシゴキに堪え続けてきた我々にただの浴場ではもはや足りないッ!!」
喉よ裂けろとばかりに叫んだ少年は、下げていた左手も上げ絶叫するように叫んだ。
「大浴場をっ!! 一心不乱の大浴場をッッ!!」
ビリビリと天幕が揺れ、震える空気が収まると、少年は先程まで絶叫から一変して穏やかな口調で語りかける。
「我らはわずかに二個小隊三十人に満たぬ敗残兵にすぎない」
悲しげに、しかし不敵に少年は語りかける漢達に。
「だが諸君は、一騎当千の古強者だと私は信仰している」
少年の輝く瞳が漢達の鈍く輝く瞳と重なる。
「ならば我らは、諸君とわたしで総兵力三万と一人の師団となる」
両手を掲げ、宣言する少年。
「我々を忘却の彼方へと追いやり、何処の馬の骨かも分からぬ奴らに尻を振る女連中を叩き起こそう」
指先を背後に、天幕の向こうにある魔法学院へと向ける。
「その珠の肌を隅々まで視姦し、誰が本当の漢かを思い出させよう」
爛々と瞳を輝かせ、飢えた野獣のような吐息を漏らす漢達。
「連中に漢がどういうものか思い出させてやる」
漢達の口の端が引きつったように持ち上がる。
「連中に我々が雄と言うものを思い出させてやる」
喜悦に漢達の顔が歪む。
「男と女の狭間には、女の哲学では思いもよらないものがあることを思い出させてやる」
地響きのような唸り声が漢達の喉の奥から響き出す。
「我ら六十と二つの瞳で、浴場の尽くを見尽くしてやる」
「「「「マリコルヌ殿! 童帝! 隊長! 小隊指揮官殿!」」」」
感極まったように、漢達から歓呼の声を上げる。
少年―――マリコルヌが漢達に向き直り、改めて天幕の中を見渡す。
静まった漢達の誰も彼もが男臭い笑みを浮かべていた。
満足するようにマリコルヌが頷く。
「小隊指揮官より全漢たちへ。目標魔法学院本塔地下女風呂ッ!!」
後ろに回した手を組み、背を逸らしながらマリコルヌは作戦を命じる。
「第一次女風呂覗き作戦状況を開始せよ!」
一糸乱れぬ姿で敬礼を返す漢達に、マリコルヌは口元まで裂けたかのような笑みを向けた。
「征くぞ諸君―――大浴場だ」
さて、彼ら漢と言う名の変態たちが、群れと成して本塔地下の女風呂へと覗きに向かうに至ったのには原因がある。
その原因を推測するには、彼らの構成員を知る必要がある。マリコルヌをリーダーとした漢達の構成は、先日正式に水精霊騎士隊へと入隊したギーシュら四人と、そのギーシュたちと一戦やらかしたクルデンホルフ大公国
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