第十二章 妖精達の休日
第四話 見よ! あれが浴場の灯だ!
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惑い、焦りながらも嬉しげに微笑む様などはもうたまらない」
つま先立ちになり、小太りの身体を震わせる少年。
「声を上げて笑う少女たちが、わたしの視線に気付き、小さく悲鳴を上げ羞恥に顔を染めながら逃げ出す姿は最高だ」
覚えがある者がいるのか、嘆息するような声が観衆たちの中から少なからず漏れた。
「川べりで少女たちが水の掛け合いをして濡れた服が身体に張り付いた姿を見た時など絶頂すら覚える」
おうふっ、と気色の悪い声が漢達から発せられる。
その余韻が切れ、天幕の中がシンっと静まり返ると、観衆の前に一人立つ少年は、先程まで浮かべていたニタリといった感じの笑みをニチョリと粘着質な笑みに変え、低く湿った声で語り始めた。
「……女性に滅茶苦茶にされるのが好きだ」
陰湿な、仄くらい闇の湿った場所から漏れ聞こえるかのような声で、少年は喜悦と共に語る。
「落ちたペンを拾って上げた少女から、忌避と避難の目を向けられるのはとてもとても悲しいものだ」
顔を伏せ、悲しいと言いながらも、少年はどことなく嬉しげな様子を醸し出す。
「気の強い美人から罵倒されるのが好きだ」
ふひっ、と笛の鳴るような奇妙な笑い声が観衆たちの中から微かに聞こえた。
「卑猥な言葉でからかわれ、顔を真っ赤に染めながらキレた女性に追いまわされ、害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ」
ぶゅふっ、と豚の鳴き声のような声が少年から、観衆の中の隅から漏れる。
「諸君、わたしは女性を、ありとあらゆる女性が好きだ」
高らかに宣言する少年。
「諸君、わたしに付き従う小隊戦友諸君」
少年を自分を熱い眼差しで見つめる観衆たちを見回す。
「君達は一体、何を望んでいる?」
肩を軽く竦め、目を細め尋ねる。
「少女たちの裸体を望むか?」
口の端を曲げ、濡れた唇を歪め問う。
「あられもない少女たちの裸体を望むか?」
熱く濡れた声で男達に―――漢達に―――問う―――問う―――問う―――ッ!!
「鉄風雷火の限りを尽くし、三千世界の漢等を魅了する少女たちが入浴する浴場を望むか?」
漢達に問いた時、観衆たちが一気に立ち上がる。空間ごと上に移動したかのような一糸乱れぬ動きで立ち上がった漢達は、右手をピンッと頭上に掲げ口々に叫ぶ。
「浴場!! 浴場ッ!! 浴場ッッ!!」
「よろしい、ならば浴場だ」
その様子に笑みを増々深くした少年は、大きく頷き右手を掲げた。
強く握り締められた拳は細かく震え、興奮で赤く染まった腕には血管が浮き出ている。
「我々は今やまさに発射寸前の熱き棍棒だ」
右手を掲げながら少年は漢達を見
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