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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第12話:おはなみに行こう!−3
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一行を乗せた車は、ゲオルグの運転によって港湾地区に向かって走っていた。
子供たちが後部座席を向かい合わせにしておしゃべりに興じている声が
賑やかに響く中、車はクラナガンの外周を走る道路をひた走る。

「いいお天気だね」

「そうだな。お花見日和ってやつか」

ガラス越しに太陽の方を見ながら、なのははまぶしそうに目を細める。

「アメ、食べる?」

「ん、もらう」

運転中のゲオルグが真っ直ぐ前を見たままあんぐりと口を開けると
助手席に座るなのはがその口に飴玉をひとつ放り込む。

「サンキュ」

「どういたしまして」

やはり前を向いたままのゲオルグが飴玉を口の中で転がしながら言った感謝の
言葉に対して、なのははニコッと笑って答えた。

車は港湾地区へと入り、車窓に日光を受けてキラキラと光る海が見えてくる。
やがて車はある建物の前にある駐車場で止まった。

「さあ、ついたよ。 みんな行こうか」

「はーいっ!」

ゲオルグが後を振り返りながら子供たちに向かって声を掛けると、
子供たちはドアを開けて車から飛び出していく。

その様子を微笑ましく思いながら見送ると、自身も車から降りて大きく伸びをする。
そして車の後方に回るとテールゲートを開けてレジャーシートや椅子といった
荷物を下ろし始めた。

「パパ」

後から声を掛けられてゲオルグが振り返ると、ヴィヴィオ・コロナ・リオの3人が
ゲオルグの顔を見上げていた。

「どうしたのかな?」

「私たちも運ぶの手伝うよ」

ヴィヴィオの言葉に続いてコロナとリオも笑顔で頷く。
ゲオルグは3人に向かって頷き返すと3人にそれぞれ1つずつ
レジャーチェアを手渡した。

「じゃあこれを頼むよ。 大丈夫かな?」

「うんっ、平気だよ!」

「はい、大丈夫です」

「任せてくださいっ!」

3人の少女たちはゲオルグが手渡した椅子を抱えるように持ち
元気よく返事をするとティグアンを伴って歩いて行った。

「ヴィヴィオもずいぶん頼もしくなってきたね」

4人の背中を目で追っていたゲオルグの側に大きなお弁当を抱えたなのはが
歩み寄ってくる。

「だな。 しかし、あの子らはちゃんと場所を判ってんのか?」

「大丈夫じゃないかな。 ヴィヴィオは何度も来てるんだし」

「まあ、な」

ゲオルグは肩をすくめながらそう言うと、側に立つ建物−元機動6課の隊舎にして
現在は特殊陸戦部隊の隊舎−へと目を向けた。

「あれから何回もここに来ちゃってるけど、この隊舎を見るとどうも
 感慨深くなっちゃっていけないね」

「俺は毎日来てるけど、そんなこと全然ないな」

「そっかあ・・・。 やっぱり今の
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