第12話:おはなみに行こう!−3
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怖いんだよなぁ・・・」
「ふぅーん、そっかぁ・・・」
遠い目をして話すゲオルグの顔をずっと見つめていたなのはは、
ゲオルグが話し終えると、小さな声をあげゲオルグの視線の先に回り込んだ。
「ね、ゲオルグくん。
チンクちゃんね、ああ見えてゲオルグくんのことをすごく慕ってるんだよ」
「はあっ!? あいつが!? それはないだろ」
なのはの言葉にゲオルグが両目を大きく見開き声を裏返して応じると、
なのははくるりと回ってゲオルグに背を向ける。
ふわりと舞いあがったスカートが風をはらみながら元に戻り、
なのはは一歩ずつ踏みしめるようにゆっくりと歩み始める。
「うーん、チンクちゃんは照れ屋さんだからあんまり自分の気持ちを
表に出すタイプじゃないもんね。
でも、チンクちゃんがゲオルグくんのことを慕ってるってのはホントだよ」
「お前なぁ、何を根拠にそんなこと言ってんだ」
自分に向かって呆れたような声を投げるゲオルグの方をなのはは振り返った。
「じゃあ、ちょっと昔話しよっか。 歩きながらさ」
なのはは再びゲオルグに背を向けるとゆっくりと歩き出す。
「おい、昔話ってなんだよ! ちょっ、待てって!」
ゲオルグは車からテーブルを取り出すとそれを抱えて
小走りになのはの背を追いかけた。
新暦76年の晩冬。
産休中のなのははある一人の客を自宅に出迎えた。
このころ、ゲオルグは士官学校の教官であり、特殊陸戦部隊の編成に
着手し始めていた時期である。
「いらっしゃい、チンクちゃん」
「ああ。 悪いな、大変な時期だろうに」
訪れたのはチンク。
このころの彼女は管理局の嘱託魔導師として、その活躍が徐々に
目立ち始めた時期である。
「ううん。 今はティグアンも寝てるし、どうせ家のことをやってるだけだから
結構暇なんだよ。 どうぞ、上がってよ」
「お邪魔します」
リビングに入りチンクはソファに腰を下ろす。
キッチンから紅茶の入ったポットとカップ、そして焼き菓子を乗せた
トレーを持ったなのはがその向かい側に腰を下ろした。
2つのカップに紅茶を注ぎ、その片方をチンクの方に押しやってから
なのはは紅茶に口をつけた。
「で、話って?」
「うむ。 実は、ゲオルグから自分の部隊に参加してほしいと誘われていてな。
どうしたものかと相談に来たのだ」
「ふぇ? ゲオルグくんに?」
チンクの言葉に驚き、なのはは目を見開いてチンクの顔を見つめた。
「ゲオルグくんの部隊って、クロノくんの差し金で来年には
発足するってやつだよね。
ゲオルグくんがその準備で忙しいのは知ってるけど・・・。
なんて部隊だっけ?
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