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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第4話 「それぞれの矜持」
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少し歯切れの悪い返事をするセシリアだが、毅然とした態度は崩さない。 きちんと零と目を合わせられているあたり、流石は代表候補生と言うべきか。

「生憎、俺は愛国心なんていう高尚な精神は持ち合わせていないし、一夏ほど感情的な人間じゃない。だから、日本が貶されたことは正直どうでもいい。」
「そ、そうですの・・・。」

国際問題、ひいては日本と英国が戦争状態に突入したとしても、零はむしろ嬉々としてその状況を受け入れるだろう。理由は簡単、彼は喧嘩が好きだから。

「問題はその後。日本人を猿呼ばわりした件だ。・・・お前の言う猿には全ての日本人、つまり一夏や女子生徒の他に、そこにいる山田先生やブリュンヒルデである織斑先生も当然含まれてるよな?」
「そ、それは、その・・・。」

ここに来てセシリアは自身の発言の軽率さに気づいた。彼女は入学して早々、クラスメイトと教師、それも自分よりも圧倒的に格上の人間を敵に回したのだ。思わず身震いするセシリアを、零は嘲るかのように鼻で笑う。

「今頃その反応か。馬鹿馬鹿しい。」

だが、零が言いたいのはその事ではなかった。彼は言葉を続ける。

「まあ、俗物のお前が世界最強を猿呼ばわりするだけでも十分万死に値すると思うが、俺が言いたいのはそこじゃない。そんなことで怒るのは一夏にでも任せておけばいい。」

あまりの言い草に一夏は思わずムッとするが、零は構わずに淡々と言葉を紡ぐ。

「問題は、その猿の中にIS開発者、篠ノ之 束が含まれていることだ。」

零はセシリアに向かって歩み始めた。彼は表情こそ変わらないが、明らかに殺気を放っていた。思わず後ずさりしようとしたセシリアだったが、一番後ろの席である彼女にはそれが出来ない。

「お前がそうやって威張ってられるのも、女尊男卑の風潮が受け入れられているのも全てあの人が開発したISの恩恵があればこそ。まさか忘れたとは言わないよな?そしてそれ以上に・・・。」

セシリアは何も言わない。否、あまりに怯えすぎて何も言えないのだ。しかし、目の前の少女の怯えきった表情を見て態度を変えるほど、零は紳士ではない。

「束さんは俺の命の恩人であり、親のような存在であり、俺にとって世界で一番大切な人だ。何人たりとも、束さんを馬鹿にすることは絶対に許さない。況してや貴様のような輩など言語道断だ。」

零はセシリアの目の前まで近づくと、歩を止めて睨みつける。能面は般若に変わり、先程までの無表情は憤怒に塗りつぶされていた。

「決闘は受けてやる。貴様や一夏のように俺にもプライドがあるからな。俺を怒らせたんだ、相応の覚悟はしておけよ、三下。」

そう言うと、零はセシリアに背を向けて自分の席に戻る。腰が抜けてへたり込むセシリアの勢いよく着席する音を聞き流しながら
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