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アラガミになった訳だが……どうしよう
原作が始まった訳だが……どうしよう
26話 イザナミ側
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逃げようとしたなら……」
足に力を少しだけ込めると、プリティヴィ・マータの顔にヒビが入る音が聞こえた。それに伴って、プリティヴィ・マータの悲鳴のような肯定の意思が私に伝わってきた。
マキナとは違ってハッキリと言葉として分かる訳ではないけれど、感情を読み取れる程度の大まかな意思だ。理性のないアラガミだった私にとっては随分と懐かしい会話だが、昔を思い出すようで少しだけ不愉快になる。
私が足をのけると、プリティヴィ・マータはボロボロの手足を引き摺りながら、必死に教会の中に飛び込み中にいる人間と戦い始めた。
「おかーさん」
「どうしたの?」
シオが私の服の裾を引いて不満げに訴えてきた。どうやらさっきのプリティヴィ・マータを食べられると思っていたようで、それが叶わず不機嫌のようだね。
「あれ、食べたかったー」
「ごめん、ごめん、けどしばらくしたらたくさん食べれるからね。それまで我慢して、いい?」
「うー……わかった」
「うん、えらいえらい」
シオはこうやって頭を撫でてやると喜ぶ、目を細めて喜ぶ仕草は間違いなく子犬(シオ)みたいだ。と言っても、私は子犬なんて見たことなくてマキナの記憶で見ただけなんだけどさ。



「命令だ!アリサを連れて、アナグラに戻れ」
ん?人間の声……これは……あーリンドウって人間の声かな?どうやら、さっきのを躾けてる間に他のも来ちゃったみたいで、さっきから銃声やらアラガミの悲鳴が少し聞こえるね。
マキナの事だから、ちゃんと数は減らしてるだろうし全滅はないでしょ。まぁ、しちゃったらしちゃったでいいんだけど、マキナ怒るよね?
「少し、おかーさん叫ぶけど我慢できる?」
「できるよ」
よし、じゃあ少しだけ偏食場パルスを出して……こんな所かな?


うるさい!!
喰われたくなかったら少し静かにしろ!!



うん、これで少しは大人しくなったでしょ?
これで逃げ切れないって言うんだったらどうしようもないし、正直これ以上はやってあげる義理もないしね。
「いやよ!リンドウうううう!!」
うるさいなぁ……早く帰りなよ。大体、君達人間じゃどうにもならないんだよ。それに、愛する人の傍にずっといなくて、別の人間と一緒にさせるからそういう事になるんだよ。
だから、人間は嫌いなんだ。誰かを愛しているのにどうして一緒にいないでいられるんだよ?自分の全てを捨ててでも傍にいなきゃ、周囲が何を言おうと愛する相手に嫌われてでも、愛する者のあらゆる障害の盾にならなきゃダメじゃない。
あ、そろそろシオも準備しないとね。
「ちょっと、こっち来て」
私はシオを近くに呼んで、その体を抱き締める。その華奢な体を壊さないように注意を払って、私はこの時まで私の娘だった存在を愛おしむ。

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