暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth9そして時代の針は動きだす〜Quo Moriture RuiS〜
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と」って“闇の書”を胸の前でギュッと握りしめる。さっき無断で使ってたじゃん障壁の魔導、とは言わない。緊急時だったしさ。オーディンは「許可なんて要らないさ。頼むよ、シュリエル」って治療に戻る。
シュリエルは「はいッ!」って力強く頷いて、すぐにオーディンと同じ魔導で治療を始めた。それをジッと眺める事しか出来ないあたし。ううん、少しでも力になりてぇから・・・「あのっ、あたしに手伝える事あるっ?」近くに居た女の騎士に訊いた。
†††Sideヴィータ⇒シグナム†††
今回の戦の最前線だった地点で、私とアギトとザフィーラとリサ、そしてシュトゥラの王子であるクラウス殿下と側近らしき騎士で、撤退して行くイリュリア騎士団の背を眺める。我々の足元には敵味方の遺体が多く横たわっている。クラウス殿下は自国の騎士らの遺体の前で片膝をついて祈りを捧げている。
「まさかこの度の戦の指導者がバルデュリスとは。大規模侵攻でしたから率いるのはイリュリア騎士団総長グレゴールかと思っていましたが・・・」
「ああ。まさかイリュリアの王子自ら騎士を率いて来るとは思いもしなかったよ」
「殿下。貴方もシュトゥラの王子である事をお忘れなく」
クラウス殿下とその騎士が話し合っている。殿下らと合流した時には既にイリュリア騎士団の将だというイリュリアの王子バルデュリスの姿はなく、オーディンの愛するアムルへと侵攻してきた騎士団の将を見る事は叶わなかった。
「しかし王子自ら戦場に赴くとは、それほどに指揮や武技に自信があるのだろうな」
呟いたところに、私の側に浮遊しているアギトからの思念通話が来た。
『バルデュリア王子は、あんまり称えられるような才があんまり無い人なんだ。だけど妹のテウタ王女は武道も魔導も優れていて、次期皇帝に近いって言われてる』
『そうなのか? ・・・なるほど。それでそのテウタという妹より勝っていると国内に知らしめるためにバルデュリスは侵攻に来た、というわけか』
『たぶん。今までシュトゥラに攻めて来てたのはテウタ派って呼ばれる騎士団ばっかりだったし』
『それで自分が率いる騎士団でオーディンを潰し、株を上げようとしたのだな』
確かに今まで大敗を喫していた元凶であるオーディンを討てば、実力はともかく討ったという事実がバルデュリスが認められる要因になるだろうな。しかしそれは成功するどころかそれ以上に大失敗として終わりを迎えた。バルデュリスはトドメを刺されたのと同義だな。
アギトは『でも失敗しちゃったし、きっともう王様になる事は不可能だよ』と言った後に思念通話を切った。クラウス殿下が歩み寄って来たからだ。もう警戒を解くらしく、拠点へ帰還するとの事だ。クラウス殿下と騎士が先に行き、我々とリサがその後方を歩いている中、「・・・・これ
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