第四話 二
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な溜息を吐いて、それから続きを話す。
「間宮……って人物は覚えてる?」
「あぁ」
「彼がどんな研究をしていたのか…… とかは?」
「ある程度は」
「これはその研究での成果、彼曰くね。私はこの注射を打たれたせいで死ぬ事が出来ず、年を取る事も出来なくなったらしい。まあ、彼らから一度銃弾の雨を貰ったから本当なのだろうけど」
彼女は自嘲気味に笑い、それから腕を引っ込める。
「私が外に出ている理由は自分がデセスポワールと戦えるかどうか未来を監視者として付き添わせて、実験の成果を確かめる為さ。まあ、この場所に辿り着くなり君は私を押し倒して下衆な事をやろうとしていたがな」
「それはすまない」
「別にいいさ、こちらも手加減無しで殴らせてもらったからな、君はそれで確か逃げた筈だ」
そして、逃げ出した時にデセスポワールと遭遇し、襲われた…… そういう事か。
「以上が今までの経緯だ、いずれ奴は成果がある無しに関わらずティアティラの人間を一人残らず私のようにするだろうね」
「もしそうなれば?」
「街の住人の一割が不死身人間になって、残りの九割近くが化け物になってしまうだろう」
「そうか、しかし、今更俺達には関係無いだろ?」
ナナシがそう淡々と言うと、雫は少し驚いた様子で、彼を見た。
「君は何を言っているんだ? 人間が絶滅してしまうのかもしれないのだぞ? まさかお前に残されていた一割の良心も消えたというのかい?」
「あぁ、その通りだ」
「…… そうか、まあいい。君が居た所で邪魔になるだけだろうからな」
「何をする気なんだ?」
彼は訝しげに彼女へ問いかける。
すると、雫は彼の喉元に自分の細い五本の指をまるでナイフのように素早く突きつける。
「勿論、私のような化け物になる人達を助ける為にあいつを殺す」
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