暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth7災厄撥ねし魂・導き果てぬ絆・希望の守り手〜SchlierlieT〜
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るつもりはなかった。創世結界にアクセスする呪文、「我が手に携えしは確かなる幻想」と詠唱する。私の両手の上に、“神々の宝庫ブレイザブリク”から具現させたある物をオリヴィエに見せる。

「これは・・・綺麗なアルムバントですねっ♪」

「ありがとうございます。王女殿下、これを両手首にお嵌めください」

治癒効果のあるブレスレットをリサに渡し、リサがオリヴィエの両手首に「失礼いたします」と嵌めた。それだけでオリヴィエは気付いたようで、「治癒の魔導が付加されているのですね」とブレスレットの効果を見破った。私の神器作成能力によって創作したブレスレット型神器・妖精の神薬(ファルマコ・ネライダ)

「そうです。私が次に来るまでの間、そのアムルバントが少しずつ治療を続けていきます。私の立てた推測ですと、おそらくひと月で完治できるはずです」

「「「ひと月っ!?」」」

「そ、そんなに早くに治せるのですかっ?」

「治療の合間や完治後にリハビリもしなければならないですよ、王女殿下。では、私が居ない間にやっていただきた――」

『我が主ッ!』

ザフィーラからの突然の念話に口を噤んでしまう。切羽詰まっているのは解っているため、『何があった?』と返す。念話の内容は『イリュリアの侵攻です。それも以前とは比べられない程の』と聞き捨てならないもので。そして廊下から「クラウス殿下っ。大変ですっ」と慌ただしい声が聞こえてきた。

「アムルから連絡だ。イリュリアが攻めて来た。今までの比ではないくらいの大攻勢らしい」

クラウス達が目を見開き、クラウスはすぐさま部屋の外へと駆けだした。私はシャマルに「すぐアムルに戻るぞ」、ザフィーラに『すまないが先行してくれ』と告げ、窓枠に近づく。「このような所から失礼する事をお許し下さい、王女殿下」と窓から出て行く事を詫びる。
窓を開け放ったところで、廊下から戻って来たクラウスが「我々も向かいますっ」と言ってきた。クラウスが外に居た家臣らから聴いた話は、イリュリアの王族の1人が複数の騎士団と、戦艦(ベルカでは戦船と言うようだが)を引き連れて来たとの事だ。

「戦船まで率いて来たのですか、イリュリアは・・・!」

オリヴィエは立ち上がってしまうほどに驚愕して見せた。クラウスは「これは本格的な宣戦布告です。こちらも戦船を用意し、迎撃に向かいます」と決意を固めてしまっている。が、ちょっと待った。「戦船の数は聞いたか?」と尋ねると、返答は3隻だった。

「3隻か。なら問題無いな。対艦戦も今までこなした事があるし、何十隻と撃沈した経験もある。私が戦船を墜とす。地上の騎士団はシャマルらグラオベン・オルデンと防衛騎士団に任せる事に――」

「戦船を生身で、しかも単独で撃沈するなど無理にも程がありますっ」


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