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第三章
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 エヴァゼリンは力なく応えるだけであった。俯いたまま。
「それはもう。それに」
「ここにもいるかも知れないんだ」
「知ってるわよね、私の国のことは」
「今話したしね」
 ヴォルフガングの言葉がさらに忌々しげなものを語るようになっていた。
「わかってるよ。こっちではもう散々な評判だよ」
「そうでしょうね、それはわかるわ」
「だから。これ以上言えば君に迷惑がかかるかも知れないね」
「御免なさい」
「謝ることはないよ、君は」
 エヴァゼリンを慰めて言うのだった。
「悪いのは。全部」
「このままずっとなのかしら」
 エヴァゼリンは言うと危険が及ぶ可能性があるのをわかっていてあえて言うのだった。心を抑えられなくなっていたからだ。彼女らしくないことであったが。
「私達はずっと」
「いつか変わるよ」
 ヴォルフガングはそれを必死に否定して言うのだった。

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