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普通だった少年の憑依&転移転生物語
【ゼロの使い魔】編
030 タイプじゃないなら仕方ないね
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ア嬢の瞳の中には諦め=A享受≠ネどの色が垣間見えた。……とどのつまり、カトレア嬢は──

(俺に期待していない? 生きる事を半ば諦めている? ……あぁ、そういうことか)

カトレア嬢は両親以上≠ノ諦めていたのかもしれない。……だったら、話は早い。不言実行。そのカトレア嬢の暗鬱とした日々に終止符を打ってやればいい。

(終止符を打つのはスキルだが……)

まぁ、そのスキルを使うのは俺だと自己完結しておく。

「では始めます」

「ええ、お願いね」

カトレア嬢はそう口では言うものの、カトレア嬢の瞳からは諦め≠竍享受≠ネどの感情はついぞ取り払われ無かった。

「“大嘘憑き(オールフィクション)”! ……カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌの病気を無かった℃魔ノした」

ベッドの背もたれに背中を預けるカトレア嬢に手を掲げ──る必要は無いが、見栄え的な意味合いで手を掲げ、言わずと知れた(?)、すべてを無かったことにするスキル…“大嘘憑き(オールフィクション)”にてカトレア嬢の病気を無かった事にする。

……因みに、ウェールズを治療した時の様に“五本の病爪(ファイブフォーカス)”で治療しない理由は、ただ単に“五本の病爪(ファイブフォーカス)”で治療する場合、カトレア嬢を物々しい爪で引っ掻く必要が有り、それなりにショッキングな為、“大嘘憑き(オールフィクション)”を使う事にした。

「……あら? 今までの身体の重さが嘘の様に無くなりましたわ」

「本当か、カトレア!」

信じられないと云った表情でカトレア嬢は呟き、カトレア嬢のその呟きにヴァリエール公爵は逸早く食い付く。

「はい」

「「カトレア!」」

「ちぃ姉様!」

ヴァリエール公爵と公爵夫人、ルイズは両の目尻にこれでもか≠ニ涙を溜め込み、カトレア嬢へと抱き付く。……俺はその光景を見て、ちょっとだけ目頭が熱くなったとだけ言っておく。

(うん。悪く…ないな……)

家族の快気を喜ぶその患者の家族。……俺はそんな光景を見て、初めてナニか≠ノ充たされた感覚が──三大欲求を満たしている時とも違う、言い表し様の無い感覚がした。……だがそれ≠ヘ、内心で呟いた通り悪くはない気分だった。

「………」

流石にこの状態の、当時者である4人へと話し掛けるのは色々と憚られるので、[あてがわれていた来客用の部屋に戻ります。ご用が有ればどうぞ]と、そんな感じの書き置きを残し、仙術で気配をギリギリまで薄くし気配をカメレオンが如く周囲の空気と同化させ、カトレア嬢の部屋から退出する。……そして書き置き通りに、あてがわれていた部屋に戻った。

SIDE END

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