日常の中の無限変幻
東方変形葉37話「少年は別れを告げる」
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朝。外の雪は当然融けてはいなかった。う〜ん、今日は家でぬくもるかな?人形たちと姫雪はまだ寝ている。昨日の疲れは相当あったのだろう。
そんなことを考えていると、空間の裂け目が現れた。
「やっほー、裕海!」
「あれ?紫じゃん。こんな朝っぱらから珍しい。」
紫が現れた。珍しいときに来る紫は、必ずと言っても過言ではないほど何かを企んでいる。
「失礼ね、私がお寝坊さんの困ったちゃんだなんて思わないことね。」
「いや、誰も思ってないし。それよりもどうしたんだ?」
面倒なので、本題へと入ってもらう。
「裕海、頼みたいことがあるのよ。」
紫が、ちょっとだけ真面目な顔で言った。真面目な時の紫はかなりかっこいいとか思ってしまう俺はだめなのだろうか。
「明日、外の世界へ行ってもらうわ。」
・・・え?なぜ?
「話すと少し長くなるけどね、実は日本で、異常に妖気が高まっているところが10か所あるの。その妖気はやがて幻想郷にもよからぬ影響が及ぶわ。そこで、その妖気の主の怪異がいるはずなの。それらを滅してほしいの。私は長時間幻想郷を離れるわけにはいかない。だから外来人だった裕海しかいないの。」
なるほど。正直ここを離れたくはないが、幻想郷を守るためだ。仕方ない。
「そういうことなら大丈夫だよ。その様子だと、場所は特定できていないんだね。」
「ええ。だけどその妖気を滅するためには、顕界(現世)と幽界(黄泉)の境界を見る力がいるの。あなたは人間だから、そんな力はない。あなたの能力で見えるようにはできても、そこにあると分からないとそれを見ることはできない。」
ん?そうなのか。
「じゃあどうするんだ?きらちゃんやほたるちゃん、姫雪に見つけてもらうのか?」
紫は横に首を振った。
「いいえ、違います。あの子たちにも恐らく見えない。妖怪であっても、境界を見ることができるのはそれほどいないからね。」
「じゃあどうやって・・・」
「外の世界に、境界を見ることができる人間がいるのよ。その子に協力してもらいなさい。」
外の世界に?能力持ちか。
「あの子たちは連れて行っていいのか?」
「いいわよ。基本的には妖怪や自立人形であるあの子たちのことは口外しないほうがいいけど、その境界が見える子には話した方がいいわね。」
よかった。人形たちや姫雪を連れて行っていいということが聞けて、かなり安心した。
「それと、このノートを渡すわ。これで妖気の主の特徴、その主が現れた詳しい場所を書きなさい。」
「ああ、わかった。」
新品のノートを受け取る。
「送り出しは明日の10時。それまでに挨拶を済ませておきなさい。」
「そうだな。少し寂しいけど一旦お別れになるのか。この幻想郷とも、幻想郷に住む仲間たちとも。」
「・・・というわけなんだ。一緒に来てくれるか?」
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