暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
最終話 あらたなはじまりその十二

[8]前話 [2]次話
「あの、こちらの方は」
「私のお兄様です」
「銀月さんのですか」
「はい、そうです」
「銀月さんのお兄さんということは」
 月の女神アルテミスである聡美の兄だ、ということは。
「アポロン神ですか」
「その通りだよ」 
 青年からだ、上城に笑顔で答えた。
「僕がね」
「そうなんですか」
「この人が、なんだよ」
 中田は笑顔でアポロンを見ながら上城達に話した。
「俺の家族を助けてくれたんだ」
「そういえばアポロン神は」
「うん、僕は医学の神でもあるからね」
 アポロンは穏やかな笑顔で自分から言った。
「だからね」
「それでなんですか」
「そう、彼の家族をね」
 アポロンもまた中田を見て上城に話した。
「助けさせてもらったよ」
「それで、なんだよ」
「中田さんは戦いを降りられたんですね」
「そうさ、まあ間違ってたんだよ」
 そのことも思い出してこうも言うのだった。
「家族を助ける為でも誰かを犠牲するってのはな」
「けれどそれは」
「まあその話は止めておくか」
 上城の言葉を受けてだ、中田は実際に自分の言葉を止めた。
「そうするか」
「はい、じゃあ」
「とにかくな、俺の家族はこの人に助けてもらったよ」
「そうなんですね」
「本当に有り難いよ」
「当然のことだよ」
 アポロンは微笑みのままこうも答えた。
「人を助けることはね」
「そのことはですか」
「また言わせてもらうけれど僕は医学の神でもあるから」
「だから人を助けられることはですか」
「助けられる限りだけれどね」
 神といえど限度はある、助けられる命と助けられない命がどうしてもある。しかし助けられる命は、というのである。
「出来ることならね」
「助けることがですか」
「うん、当然だよ」
 そうだというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ