第四章
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「ここ日本よね」
「じゃあ何処に見えるのよ」
「大阪?」
「大阪は日本よ」
間違っても他の国ではないというのだ、大阪王国とかいう国ではなく。
「だからね」
「同性愛はいいのよね」
「よくてもよ」
確かに罪に問われないし過去にもそうしたことはなかった。しかしそれでもだとだ、紗栄子はマリアンヌに言うのだった。
「それでも普通かっていうとね」
「違うのね」
「違うわ」
このことをだ、紗栄子はマリアンヌに強く言った。
「間違ってもおおっぴらでないから」
「紗栄子の言う通りなの」
「そう、何度も言ってるでしょ」
「それは大阪だけよね、お寺とかだと」
「そう言うと思ったから」
マリアンヌの言葉は読んでいた、それでだった。
紗栄子はマリアンヌにだ、こうも言った。
「お寺も行くわよ」
「お寺?何処のお寺?」
「高野山よ」
金剛峯寺、そこだというのだ。
「そこに行くから」
「高野山なのね」
「そこは聞いたことがあるわよね」
「日本でも有名なお寺よね」
「歴史の古いね。その高野山を開いた空海上人がね」
その彼こそがとだ、紗栄子はあえてマリアンヌの好きな最も興味のあるその話題を振った。
「日本に同性愛を持って来たって言われてる人だから」
「それじゃあ」
「そう、まさに高野山が日本の同性愛のはじまりだから」
それでだというのだ。
「そこが今も同性愛が普通ならね」
「私も納得するっていうのね」
「そうでしょ、じゃあ行くわよ」
「ええ、それじゃあね」
マリアンヌはその高野山なら絶対に同性愛が普通だと思っていた。そしてだった。
二人でだ、一緒に高野山に入った。山は深く高い、緑に包まれた山はその姿だけで神秘的なものを醸し出している。
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