第三章
[8]前話
「真珠も」
「それもです」
「我々も驚いていまして」
「ニッケルや真珠が安価であることが」
「そうです、あまりにも」
「場所が違えば」
宇宙の時代だ、この場合は惑星や星系単位である。場所と言っても。
「それで全く違いますね」
「その通りですね」
「はい、本当に」
「どうやら我々は」
ここでだ、お互いに言い合った。人類もズガール星人も。
「互いにないものを売り合う」
「そうした関係ですね」
「そうですね、それでは」
「これからもお願いします」
ここで人類側は右手を差し出した、だが。
ズガール星人側は右手を高々と掲げた、そしてだった。
彼等はここでもお互いにだった、顔を見合して話した。
「風習も違いますね」
「そうですね、我々はです」
ズガール星人達は笑って人類達に言った。
「右手を高々と掲げ合うことがです」
「親睦を深める挨拶なのですね」
「そうです、それで貴方達は」
「手を握り合うことがです」
それがだとだ、人類側も笑って答える。
「親睦を深める挨拶なのです」
「風習も違いますね」
「そうですね、お互いに」
こう話すのだった、彼等は価値あるものの違いだけでなく風習即ち文化や文明の違いも知ったのだった。
そしてお互いに学び合って相互理解を深めることになった、しかし双方が得た教訓は全く同じものであった。
『価値あるものはそれぞれ違う』
『文化や文明はそれぞれ違う』」
このことだった、そしてそこからだった。
お互いを理解してだ、それこそだった。
「相手を付き合える」
「そして友好的になれる」
共にいてだ、そしてだった。
彼等はお互いに親睦を深めていくのだった、少なくとも彼等の間に武力衝突はなかったのでこのことも幸いした。そうして互いを理解していくのだった。
その結果人類とズガール星人達は有効平和条約からさらに一歩踏み込んで連合国家になった、そうなってからだった。
やはりだ、こう言い合うのだった。
「お互いを理解しなくてはな」
「何もならない」
理性に基づいてそうしてこそだとだ、彼等は連合国家になってからもこのことを忘れず共に生きていくのだった。
価値あるもの 完
2014・5・26
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