第三章
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る。
「嘆き悲しむってのがどういうことか」
「ああ、是非な」
「じゃあ教えてあげるわ、どんなものか」
こう言ってだ、真希絵は遂に爆発した。そのうえで怒りをまだ収まらせないまま大地を両足でガニ股口調で踏みしめつつ夫と息子のところに帰った、そしてだった。
妻はその娘を見送ってから夫のいるアトリエに行った、そこにあったものは。
ズタズタになった絵だった、十の爪でまるで虎が暴れた様に引き裂かれている。妻はその絵と絵の前に無言で座っている夫を見て言った。
「真希絵帰ったわよ」
「わかっている」
「さっきここから凄い叫び声が二つ聞こえてきたけれど」
「一つはあいつでな」
「もう一つはあなたのものね」
「そうだ」
その引き裂かれた絵と正対して座って妻に背を向けたまま答えた彼だった。
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