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第三章
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第三章

 駅で待っているとだった。そこに立っていたのだ。完全に彼女好みの男の子がだ。
「どうしたの?」
「いえ、あの人だけれど」
 一緒にいた智代に対して言うのだった。アスファルトの暗い青と灰色の天井の間に彼がいたのだ。その彼は隣の高校の青い詰襟の制服を着ていた。
「ほら」
「あっ、結構いいじゃない」
 智代も彼を見て微笑んだ。背が高く黒い髪を左右でやや跳ねさせている。顔つきは逞しく何処か格闘家を思わせる。眉は太くやや短い。
「背も高いしスタイルもいいし」
「顔もいいと思わない?」
「結構ね」
「結構以上よ」
 こう智代に返したのだった。じっと彼を見たまま。
「あんな人がいるなんて」
「あらっ、それって」
 智代にはすぐにわかったのだった。彼女の今の言葉で。
「若しかして見つかったのかしら」
「そうなのかも」
「それならよ」
 話を聞いてすぐに言う智代だった。
「やることはわかってるわね」
「ええ。それは」
 智代のその言葉に頷く里香だった。
「仕掛けるのね」
「作戦は大事なのよ」
 智代は囁くようにして述べた。
「策は私の中にあるから」
「智代の中に?」
「この灰色の頭脳にね」
 楽しそうに笑っての言葉である。今からもう楽しみで仕方がないといった感じだ。
「あるわよ。まあ見ていなさいよ」
「そうなの。それじゃあ」
「まずはね」
「ええ。まずは?」
「出会いを演出するのよ」
 こう里香に話した。
「出会いよ。これが肝心だから」
「出会いが一番大事だっていうのね」
「それも間違い。出会いは一番じゃないのよ」
「違うの?」
「違うわよ。出会いは最初の関門に過ぎないのよ」
 智代にしてみればそうなのであった。それだけに過ぎないのだ。
「最初のね」
「これからだっているのね」
「そう、これから」
 智代の言葉は続く。
「だからいいわね。仕掛けるわよ」
「どうやって仕掛けるの?それで」
「あの高校は九条高校ね」
「ええ。八条町の隣の」
「場所はわかったわ」
 高校の名前を聞いてすぐにそこまでわかった智代だった。
「そしてあんただけれど」
「私?」
「あらためて見ても美人ね」
 里香を見上げての言葉である。ここでも彼女が美人だと実感するのである。
「全く。その美人さならまあ多少大雑把な作戦でも大丈夫ね」
「大雑把って」
「けれど緻密に行くわよ。まずは学校に行って」
「そうよね。学校はね」
 今二人は登校中である。そこで相手に会ったというわけだ。
「行かないと」
「だから下校中によ。いいわね」
「九条高校まで行くのね」
「違うわ。九条にも知り合いがいるから」
 これは実に好都合なことだった。里香にとっては。
「そっから情報を入手するから
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