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乱世の確率事象改変
安息の住処
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、平原を手に入れてからは徐晃隊という絶対服従の特殊な部隊を手足のように扱うようになり、対袁術軍の戦で遂に大きな働きを見せたと聞いて、その技術を盗みたいとも思っていた。
 話して、学んで、師事して……いろいろなモノを吸収して行こうと思っていたのだ。
 しかし現状は……不器用な自分ではどう接していいかも分からず、期待に膨らんでいた心の反動と、臣下である彼を信じ抜かなかったモノへの苛立ちで怒りが心に溢れていた。
 ずっと隣で過ごしてきた沙和は、凪が彼に憧れている事も理解しており、その心を汲み取って幾分かは話しかけず沈黙の時が続く。
 沙和がどうにか空気を変えたいと思った矢先、凪が先に口を開いた。

「今のあの人も……変わらないのだろうか」

 ため息を一つ落とした。
 目指した人であって欲しいと願い、沙和を見つめる瞳は不安を宿している。
 ふっと優しく微笑んだ沙和は、凪の頭を撫でた。

「ちょっ……沙和――――」
「会う前に悩まないで会ってから悩めばいいだけなの。それに、凪ちゃんは凪ちゃんのままで進めばいいの」

 楽天的で曖昧な意見に茫然と見つめること数瞬。凪はふっと口元を緩める。
 沙和は憧れを知った上で、自分らしくあればいいと伝えていた。
 彼がどのようなモノであれ、凪の在り方は変わらないのだから、そのままの自分の想いを胸に突き進め……と。

「……ありがとう。うん……わたしはわたしのままで、皆の為に戦うだけ、か」

 憧れは胸の内に、されども自分のままで。
 凪はまた、親友に感謝した。何処か自分は、求めすぎる事で視野が狭まっていたのだと自覚して。
 想いの在り方を決めるのは自分自身。だから彼女は狂信しておらず、これからも堕ちる事は無い。
 彼の身体のように想いを共有する事は無く、彼女だけの確たる光として想いを胸に宿していた。親友二人が彼女を支え、見守ってくれる両の柱であるからこそ、凪は自分だけの願いの為に戦える。

「ふふ、沙和の好きな優しい凪ちゃんのまんまなの。じゃあ今日は夕方に練兵場で鍛錬してるらしいから会いに行ってみるの! 武で語らえば分かり合えるって春蘭様も言ってたの!」
「今日!? しかもあの人と戦えって!?」

 いきなりの提案に思わず素っ頓狂な声を返すも、沙和のにこにこした笑顔は変わらない。
 春蘭の言である。当てになる方がどうかしてると思うのだが、沙和は本気でそう思っているらしかった。
 確かに自分の武の腕を確かめてみたいと思う気持ちもあった。彼の戦い方は体術と剣戟。体術は凪の戦い方の勉強にもなる。
 武で語り合う、というのは霞や春蘭のやり方。
 凪としては真面目に話すだけでいいのだ……が、話せそうにない自分に気付いてそれもありかもしれないと感じてしまう。
 しかしどうにも
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