原作が始まった訳だが……どうしよう
25話
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そう起こり得ない。
仮に何本か回り込まれても、その程度の数ならば対応は可能だしな。
「うーん、流石にこれ以上は困るな。仕方ない、これが私の奥の手、根の国だよ」
直後人をその手の内に収められてしまうような腕が俺の真下から出現し、俺はその腕に捕らえた。どうやら、複数の腕を毛糸のように編み上げて出来た腕らしく、切断することもできないだろう。
「ふっふー、私の勝ちかな?」
「いーや、まだ終わってないぞ」
俺は四肢の具足の噴出口を全て外側に向けて、溜め込み圧縮した空気を更に圧縮する。これがお前の奥の手なら、こちらも晒そう。
数ヶ月前にやっと出来るようになった、空気の圧縮によるプラズマ化だ。一回の戦闘で具足一つにつき一発ずつが限界だが、威力は俺の持つ攻撃手段の中でも最強だ。
それを全て解放したのだから、流石のイザナミの腕も耐えきれず吹き飛び、彼女も驚きの表情を浮かべている。
だが、これでお互い奥の手を使い切った訳で、残りは地力による勝負だけだ。
自由になった瞬間に俺は両足に水蒸気爆発による加速をかけて、イザナミとの距離を詰める。対してイザナミは自分の周囲に残しておいた腕で俺を捕まえようと、数十本の腕を俺に差し向ける。
体は無事に腕を回避することができたがマントに絡みつかれ、マントを捨てることで腕を回避。
そこで僅かだが油断した、イザナミの腕を乗り切る事に重点を置いたために怪力を軽視してしまった。腕を越えた先には既に手刀を構えたイザナミのが待ち構え、俺の首を狙っている。
だが、俺は右腕に水蒸気爆発によるブーストを加え、手刀よりも速くイザナミの胴体を捉えようとする。
「………」
「………」
「「引き分けか」」
俺に首にはイザナミの手刀が添えられ、イザナミの腹部には俺の拳が触れている。お互い、攻撃までは一瞬だが確実に放った瞬間に、相手の攻撃も自身に致命の一撃を与えることは分かる。
「はぁ……油断はなかったんだけどな」
「俺としてはここまで強化しても引き分けってのが信じられないな、初めて会った時の戦力差が恐ろしいぞ?」
五年かけて引き分けか……あの時の俺じゃ文字通りの瞬殺されかねない差があった訳だ、本当に敵意を持たれていなかったことに感謝だな。
それに引き分けと言っても、俺は具足と体を限界まで酷使しての引き分けだ。対してイザナミは腕こそ数を減らしたものの本体は無傷、そして腕も既に回復しているのだから、本当にギリギリの引き分けと言うべきなのだ。
「あ、マキナさん、これ」
カノンが途中で脱ぎ捨てたマントを持ってきてくれたので、再び身に纏いながら明日の仕事に対して気が楽になった事を実感する。
イザナミ相手にギリギリとはいえ引き分けたのだ、ヴァジュラの亜種如きが多少群れようが、これに比べれば幾分マシだろう。
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