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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百八十話 同盟政府の醜悪
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宇宙暦794年12月26日

■自由惑星同盟首都星ハイネセン最高評議会ビル

最高評議会では、イゼルローン要塞からの初の生中継の立体TVで拉致被害者や捕虜が口々に皇帝の慈悲の心と厚遇に感謝すると言う発言に出席者が苦虫を噛み潰したようの顔で画面の眺めていた。

「此は不味いですな」
「確かに不味すぎる」
「民主共和制の敵である皇帝を賛美するとは」

各委員長がてんでバラバラにそれぞれの意見を言うが為に評議会は荒れに荒れる。

「それもあるが、彼等が持ってくるディナールをどうするかだ」
「200万人が平均60万ディナールだ」
「それだけでも、1.2兆ディナール(240兆円)に成る上に、捕虜の分も合わせれば1.4兆ディナール(280兆円)だ」

財務委員長が額に青筋を見せながら資料を捲り話す。
「今年度の国家予算が21兆ディナール(4200兆円)だ。その15分の1が一気に市場に流れることになる」
「此は由々しき事態だ」

「財務委員長、概算で良いのでどうなるか判るかね?」
「無理だな、想像も付かんよ。確かに紙幣発行額はこのご時世で既に1000兆ディナール(200京円)越えだ」
「既にインフレ気味なことも判るが」

「その上で、ダゴン以前からの国債残高も1000兆ディナールだぞ。利息払いだけでも溜息が出る思いだ」
「そうは言っても、彼等から資金を没収する訳にも行くまい」
「そうだな、人的資源委員会としては、彼等の再就職と職業支援も考え無ければ成らない所なのだが」

「偽札と言う事は無いだろうか?帝国が1.4兆ディナールもの現金を用意できるとは思えないのだが」
「いや、その辺は数年前から、帝国がフェザーンでディナールを多数入手していると、弁務官事務所から報告が来ている」

「国防委員長、それは何時のことだね?」
「私の所に上がってきたのが、半月前だよ」
「たるんでいるのではないね?」

「情報部の話だと、資金を集めているのは同盟内のスパイや協力者に資金を送る為だと分析して、敵に気取られない為に敢えて報告を遅らせていたとの事だ」
「それが、こう言う結果をもたらしたんだぞ!」

「そんな事より、不味いのは軍人の方だろう、彼等の給料は新兵で月額600ディナール(12万円)程度、ベテランの曹長でも1800ディナール(36万円)だ、年間にしても夏冬の賞与4ヶ月を含めても兵で9600ディナール(192万円)、曹長で28800ディナール(576万円)だ。それが捕虜になれば兵でさえ20万ディナール(4000万円)の支給だ」

「このままでは戦わずに降伏する連中が増える可能性が有るという訳か」
「そんな事は有りませんわ!憎っくきルドルフの悪魔の囁くに勇猛なる同盟軍人が耳を貸す訳が無いのですから!」


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