志乃「納豆ってさ、人類の神秘だよね」
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はいつも同じ言葉で返す。あいつら、まるで俺と志乃が恋人みたいな目で見てきやがる。こっちは兄妹だっての。しかも、俺達って基本的に曲聴きながら登校してるから会話だってそこまで多くないぞ。
今日は音楽プレイヤーが電池切れだったので持ってきていない。志乃はいつも通りヘッドフォンを装着しているが、それを耳に付ける様子は無い。よって珍しく会話が成立していた。
「ねえ、頼みがあるんだけど」
「なんだ、藪から棒に」
「私に缶コーヒー奢って」
「理由は?」
「眠いから」
「ま、理由の有無にしろ奢る気はないけどな」
「兄貴のケチ」
「お前がもっと早く寝ればいいだけじゃん」
「ピアノの練習してるの」
「それを少し早めるのは出来ないのかよ」
「無理。小説読む時間だから」
「勉強してるって言えば奢ってやったんだけどなー」
「ウザ」
「素でウザとか言われたわ……」
一応会話として成り立っているとはいえ、内容は極めてどうでもいい。俺が持ちかける事もあれば、たまにだけ志乃から話題を振ってくる場合もある。妹と自然に会話するのも、なんだか新鮮だった。
思えば志乃との仲が薄くなったのは中学二年の頃だったかな。確か全国大会みたいなやつの後からだっけ。……自分に嘘吐いてたけど、わりと寂しかったな。今こうして喋っているのが不思議なぐらいだ。
やがて学校が見えてきて、俺達は時間に気にする事無くのんびりと正門をくぐる。そこには朝練に精を出している運動部がグラウンドにいたり、風紀委員が登校してくる生徒達に挨拶をしていたりと、どこにでもあるような学校の雰囲気が広がっていた。
これまでの俺は朝がとても早かったので、こうした風景を見るのは新鮮だった。きっと中学三年の部活引退以来だ。
「おはよう葉山君!葉山さん!」
俺が学校ならではの風景に耽っていると、横から元気の良い挨拶が飛び込んでくる。誰もが嫌でも振り向くぐらいに大きな声にわざとらしい呼び方。勿論あいつしかいない。ここは嫌味で返してやろう。
「おはよう林葉先輩」
「……」
「え、志乃ちゃん無視?無視なの?」
「ああ、綾乃。おはよう」
「うん!今日もとびっきりに可愛いね!!」
「……志乃、こいつに嫌味は通じないぞ」
俺がそう声を掛けると、志乃は少し溜息を吐いた。分かってるならやらなきゃいいのに。
一方、そんな俺達に斟酌する様子の無い綾乃は、まるでマシンガンを連射しているかのように言葉を連ねまくる。
「にしても、朝から二人で登校なんてラブラブだねぇ。この前まで全然話したりしてなかったのに。どういう風の吹き回し?この間お泊りした時
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