志乃「兄貴は学校のヒーローだね」
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
何度も兄妹なだけだと言っているのに、あいつら(特に女子)は聞きたいのはその答えじゃないとばかりに何度も聞いてくる。多分、入学式の自己紹介での志乃が原因なんだろう。あの時「好きな人」の項目で俺が年上である事を言わなけりゃ、こんな変な誤解を受けずに済んだのかもしれない。
勿論、五十嵐のせいでもあるけどな。あいつが余計な事を言ったのも、女子の熱をヒートアップさせる要因となったに違いない。
一方、男子からは「志乃さん可愛すぎる」だとか「すっぴん美人」だとか、俺に言っても困るような事を言ってきた。近いうちに『葉山志乃ファンクラブ』とか出来そうな勢いだった。
ちなみに当人の志乃は、ずっと話しかけるなオーラを醸し出しており、それが他の連中にも伝わるのか、話しかける奴はほとんどいなかった。そのため、問い詰められるのは基本的に俺だった。あいつ、全部俺に押し付けたな?
それでも志乃も時折他の女子に話しかけられ、それに軽く答えていた。あいつは別に人付き合いが悪いわけじゃないから、特に心配する必要は無いだろうな。
ただ、中には入学直後からいきなり目立った俺と志乃をあまり良く思わない奴もいるだろうから、志乃が変に絡まれないように注意しないと。当然、俺もな。
「カラオケとか好きなん?」
まだ名前を覚えていない男子からそう聞かれる。ちなみに、最初の質問ラッシュで俺に敬語は使わなくて良いと言ってあるので、皆タメ語である。
「好きだよ。中学の時は週四ぐらいで通ってた」
「ガチ勢かよ!」
「いつから剣道やってるの?」
「もう辞めたけど、小二の頃から去年までやってた。でも運動はあんまり得意じゃないんだよ」
「へえ、意外だねー」
「意外といえば、葉山君って地味にかっこよくない?」
「それ分かるー。隠れイケメンみたいな?」
「そうそう!やっぱ一つ年上だからじゃない?」
「あー、あるねそれ」
勝手に話が進んでいる時は基本的に会話に加わらないようにしている。俺の目的はあくまでこの学校で静かに生活する事だ。入学式からそれはぶっ壊れたけど、この先静かにしていけばいい。この盛り上がりだって、どうせすぐに終わる。ていうか、入学したばっかりなのにこいつらこんなに仲良いんだ?
それだけはだいぶ気になったので聞いてみると、
「君達兄妹の話題で仲良くなったの」
俺達は人と人を繋ぐ役割を自然と担ったってわけか。今回のケースはかなりイレギュラーだけどね。
その後、クラスメイトとの他愛も無い会話(?)は一時間ほど続き、ある程度人が減ったところで俺は帰る事にした。それまでずっと自席に座って曲を聴いていた志乃を連れて。
帰り道。それまで無言を貫き通してきた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ