志乃「兄貴は学校のヒーローだね」
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捌きの鉄槌を下してやりたいと思えてきた。
「あの時私、凄い怖くってね。こりゃお金出さないとダメだなぁ、って思ってたの。でも、葉山君のおかげで全員無事で助かった。それがとっても感動して……」
「……思わず他の奴らに話した、と」
「……そういうわけです」
ああ、こりゃ参ったな。全てに合点はいったけど、だから何だって話だし。
てっきり俺は、入学式の自己紹介の件で俺達に視線が向いているのかと思っていた。だが、それだけでは答えとしては十分では無かった。
あいつらは、俺が強盗グループと戦ったという出来事をすでに知っているのだ。これについては全く考えなかった。あの時すぐにでも五十嵐を見つけ出して事実を他の奴らに喋らないように口止めしておくべきだった。今更ながら後悔する。
とはいえ、俺がここで五十嵐を怒っても状況は変わらない。むしろ評価はもっと下がる事だろう。なにせ今の俺は、強盗グループとやり合った問題児みたいな目で見られてるんだろうから。
だが、聞きたい事はあった。
「五十嵐、お前どこまで喋った?」
「葉山君が強盗グループに刺又で対抗したことぐらいだよ」
「本当は?」
「いやいや本当も何もそれが事実でしょ」
「俺が発した台詞、とか」
「……ごめんなさい」
やっぱりか。俺は問題児な上にシスコンの烙印まで押されるのか。この先学校やっていけるか不安すぎるわ。
「まぁしょうがない。言っちゃったもんは元に変えられないしな」
「私に怒らないの?てっきりお金か身体要求されるかもって覚悟してたのに」
「五十嵐の中で俺ってどういう設定になってるんだ……?」
その後二言三言話して、俺達は再び教室に戻った。
そして、入った直後に待ち構えていたのはクラスメイトからの怒涛の質問ラッシュだった。
「兄貴は学校のヒーローだね」
それだけ言って、首元のヘッドフォンを耳に付けて自分の世界に閉じこもった志乃を、俺は恨めしい気持ちで見ていた。
*****
今日の学校はこれで終わった。いやー、長かった。長すぎて死ぬところだった。
オリエンテーションが終わり、帰りのHRも終わって下校になった正午ちょっと過ぎ、俺は再びクラスの奴らに幾度となく質問攻めに遭った。
警察署に行くのが午後三時頃だったので、この後は家に帰って一度シャツ取り換えようと思ったんだけど、これじゃ無理っぽいな。しょうがないので付き合う事にした。
クラスメイトの質問は、俺が年上である事も含まれていた。これについては本当の事を言ったら確実に軽蔑されるので、あえて勉強面という理由にしておいた。
一番多かったのが、俺と志乃の関係だった。俺は
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