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魔法使いの知らないソラ
第四章 雨の想い編
第一話 雨にふられて
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見た彼女の、真剣な眼差しは優しくて、そして――――――悔しそうだった。


「私達ができることなんてないよ。 ルチアちゃんと翔が出さないといけない答えだから」


そう言うと紗智は立ち上がり、再び校内に戻った。

置いていかれたルチアは一人、空を見上げて一人静かに考えた。

紗智が放った言葉‥‥‥そこに込められた想いが、ルチアに伝わってきた。

彼女もまた、何かに思い悩んでいたのだ。

そしてその何かとはきっと、今のルチアが悩んでいることと同じことで、彼女はルチアよりも先に答えを出したのだ。

そして先ほどの答えが、紗智の答えなのだろう。


「“紗智”――――――ありがとう」


答えはまだ出ない。

けれど、自分が何をするべきなのかを理解した。

それは、友達以上に――――――大切な親友である、紗智の想いを無駄にさせないために。

紗智が自分の想いを犠牲にして伝えた言葉を、絶対に無駄にさせない。

そう決意してルチアはお昼休みが終わるのだった――――――。


                ***

「はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥」


息が乱れ、脇腹が痛く、いつもより多めに空気を吸い込む。

そして落ち着くと、ゆっくりと歩き出す。

放課後、紗智は一人で帰っていた。

武や翔達にはバレないように、走っていた。

あまり運動が得意ではない紗智だが、今日は体力の限界まで使ってここまで走った。

今は、一人にして欲しかったのだ。

なぜなら今は、――――――感情が抑えられないからだ。

先程までずっと溜め込んできた感情、想いを、抑えきれないからだ。


「‥‥‥っぅ‥‥‥ぁ‥‥‥」


そして紗智は一人、灯火町の南部にある人気(ひとけ)のない山あいの頂上で、その溜まりに溜まった感情を解き放った。


「ああああああああああああッ!!!」


胸が締め付けられるように痛い。

喉が貫かれたように痛い。

頭が破裂するかのように痛い。

肺に溜まった酸素全てを使って放ったあと、もう一度大きく息を吸って、再びはき出す。

瞳から雫が溢れているが、そんなことは気にしない。

きっと今、顔は紅く、涙でぐしゃぐしゃだろう。

口の中は僅かに、血の風味がした。

だけど、そんなことは気にしなかった。

今はただ、この溜まりに溜まった想いを吐き出したかった。


「あああああああああああッ!!!!」


この想いが全て、この身体(からだ)から無くなるまで‥‥‥彼女はずっと、叫び続けていた。


――――――「こんなところで、何してんだ?」

「ッ!?」


その時、背後から足音と同時に一人の男
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