第二章 迷い猫の絆編
第四話 迷い猫の涙
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れからも、たくさんをそれを感じることができるだろう。
だがそれは、彼がいないと感じることができない。
だから彼には、勝ってほしい、生きて欲しい。
その願いが、ルチアの心の中で木霊するのだった――――――。
***
翔とショコラの戦いは、両者互角に続いていた。
だがそれは、相良翔が本気を出していないからだった。
倒すと言う目的と助けたいと言う想いがせめぎ合い、本気を出せずにいた。
だが、負けるわけにもいかない翔は動いた。
「せいッ!!」
気合一閃、ショコラの右足に飛び込んだ翔は引きずるように構えた刀を勢いよく振り上げて切り裂く。
更に上段の構えに瞬時に切り替えて刀を一気に振り下ろす。
「まだだ!」
そう言うと翔は左足を軸に全身を反時計回りに回転させ、横薙に刀を振るって今度は右手を切り裂く。
するとショコラは立つことができなくなって右に転がるように倒れる。
翔は瞬時にショコラと距離を取り、ショコラが動けないのを確認すると、ルチア達の方をチラリと確認する。
すでに二人共、戦いを終えてこちらを見ている。
ルチアはどうやらミウにはトドメを刺さなかった。
そしてミウは、戦いの意思を捨てて今は祈りを込めている。
恐らく、ショコラを救うためだろう。
今、みんながショコラが救われることを祈っている。
ミウだけでなく、静香もルチアもだ。
そして‥‥‥翔もまた、ミウとショコラの幸せを祈っていた。
だからこそ、翔は本気を出せないのだ。
「ショコラ、もう終わりにしよう。 これ以上はミウが望んでない。 ミウが悲しむだけだ」
『ミウ‥‥‥』
ショコラもまた、ミウの方を見る。
ミウの姿を見て、ショコラは徐々に落ち着きを見せていく。
それはミウの想いが伝わってるからだろう。
すると、ショコラから殺気が消えていく。
「落ち着いたか?」
『ええ。 なんとか』
だが、姿は巨大化のままで暴走姿のままだった。
『ごめんなさい。 私も、頭に血が上っていたとはいえ、あなたを苦しめた』
「別に構わない。 怒ってないしな」
そう言って翔は右手の空間を歪めて刀を消滅させた。
そして武装を解除して、私服になる。
「それよりも、その姿‥‥‥どうにかならないのか?」
『わからない。 私の意思をもってしても、この体は元に戻ろうとしない』
「おい‥‥‥それ大丈夫なのか?」
『‥‥‥』
翔は心配そうにそう聞くと、ショコラは目を閉じてその場に倒れこむ。
「ショコラ!?
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