第二章 迷い猫の絆編
第四話 迷い猫の涙
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いよく叩き割り、二人は黙った。
恐らく言い争えば、ああなるらしい。
それにしても、笑顔と敬語でそうやると、本当に怖い。
『‥‥‥ミウ』
「っ‥‥‥ショコラ!」
すると、ショコラが意識を取り戻し、ミウはショコラを抱き寄せて膝の上に乗せた。
『ミウ‥‥‥ごめんなさい。 大変な思いをさせてしまって』
「ううん‥‥‥いいの。 だって私、ショコラの‥‥‥友達だもん」
その言葉に、ショコラは言葉にならないほどの感情が溢れ出ていた。
衝動にも近いそれは、抑えきれずにいた。
そして抑えきれない思いは、ショコラの瞳から涙を溢れ出させる。
『私は‥‥‥幸せ。 こんなに最高の主に出会えて‥‥‥幸せ』
「うん‥‥‥うん!」
ミウもまた、涙を流しながら何度も頷く。
その光景を、翔とルチアと静香は優しい笑で眺めていた。
自分達が行ってきたことは、間違っていなかったと実感する。
この小さな二つの命と、大きな笑顔を守れた。
それだけで、三人は満足だった。
「‥‥‥さて、そろそろここから離れましょう。 もうすぐ警察や消防が駆けつけるでしょうし」
「はい。 ミウとショコラは私が看護師の人にうまくごまかして保護してもらいます」
「ええ。 では行きましょう」
静香とルチアがそう言うと、ルチアはミウをおんぶして静香とともに屋上の出口に歩いて行った。
「ちょっ!? お、俺はどうするんだ!?」
今だに疲れのあまりに動けない翔は、その場から起き上がれずにいた。
すると振り向いて静香が言う。
「男性を背負うなんて女性にはできませんから、自力でどうにかしてください」
「え‥‥‥いや、ちょっと‥‥‥」
その通りなのだが、笑顔でそう言われると何とも言えない。
そしてルチアもまた言った。
「ロリコンはしばらく真っ白な病室で反省してなさい」
「だから、違ああああああう!!」
翔の反論を無視して、三人は去っていくのだった。
「え、嘘‥‥‥ほんとに置いていかれた!?」
『友達って色々あるんだね〜』
残ったショコラは倒れて動けない翔の左頬をペロペロと舐めながらそういう。
「‥‥‥友達って、なんだろね」
『さぁ?』
その後、翔は消防の人たちに強制的に救助され、灯火病院の二階にある病室にしばらく入院することとなったのでした。
――――――それから、三日が経過した。
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