第35話「ガンツと俺」
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全長5m近くしかない小型飛行機が、3機。まるで生命を持つように、その姿を躍らせた。
近い。しかも複数。真っ直ぐに刹那に襲い掛かっていた。
「せっちゃん!」
木乃香の悲鳴が上がったその一瞬だった。
刀身が円を描き、宿された気があらゆる射程を捉えて一気に敵を巻き込む。
「――百烈桜花斬!」
3機全てが刹那をスレスレに滑空。そのまま飛行船から遠ざかり、音もなく両断された。
「ふぅ〜」
カモがホッと一息をついたのも束の間
「まだです!!」
雲から、次々と敵がその姿を現す。
――くっ、せめて道具があるか楓がいれば。
未だに目を覚ましそうにない仲間を傍目に見やりつつ、木乃香とカモを守るように、刹那は立ちはだかったのだった。
刹那たちが乗っている飛行船が位置する上空百M。そこから200Mほど距離を置いた空。
大きなほうきに腰をかけ、酒を片手に観戦を決め込んでいる人物と、その周囲をご機嫌に飛び回る小さな影があった。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルとその魔法人形、茶々ゼロ。
「ホントニ半分ノ魔力ガ回復シテルゼ」
パタパタと背中に生えた小さな羽を羽ばたかせて、茶々ゼロが不思議そうに呟いた。
それに対し、エヴァンジェリンが台詞のわりには落ち着いた表情で漏らす。
「ああ、茶々丸がやられて学園結界が復活した時は流石に焦ったがな」
魔力を封じられたはずの彼女達がなぜ空を飛んでいるのか。
それには少しだけ話を遡る必要があった。
元々、超鈴音の計画の成り行きを見届けるつもりで空を悠々自適に飛んでいた彼女達。茶々丸がタケルに未来送りにされて、マズイと考えた時には既に学園結界が復活していた。
再結成された結界によって魔力が封印され、その結果、当然のように地に堕ち始める。さすがの真祖の吸血鬼も、その力を封印されていてはどうしようもない。
死か、運がよくても良くて重傷か。
それを覚悟し、あと数Mで地面に激突すると思われた瞬間。
不意に半分程度の魔力が復活していた。
元々反則気味の強さを抱えている彼女。それが半分程度でも復活すればこの程度の危機回避など欠伸をしながらでも可能だった。
と、いうわけで彼女達は再び高い位置にてこの状況を楽しんでいる。
『死ニ掛ケタンダカラセメテ安全ナ場所デ観戦シヨウゼ、御主人』
という至極真っ当な意見を半分程度取り入れて、眼下数十Mの位置にビルがあるのは彼女なりの保険……なのかもしれない。
そもそも飛ぶなよ、なんて考えはないようだ。
とはいっても半分程度でも魔力が復活していれば彼女にとっては十分。色々と対策もしてあ
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