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ネギまとガンツと俺
第35話「ガンツと俺」
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ーンを見せようと思うはずもない。

「お、お嬢様?」

 心配になって声をかける刹那に、木乃香は気丈に答える。

「ううん、大丈夫。ありがとう、せっちゃん」
「い、いえ。ですが……――」

 ――真っ青ですよ?

 という言葉を遮り、彼女は気丈な顔を作った。

「この間、皆でいいんちょーの島に行ったことあったやろ?」
「……はい?」

 突然の関係のない話に、刹那が間抜けな声をだした。

「そんでタケル先輩はそん時に皆と海に入らんかったん覚えてる?」
「え、ええ」
「そん時にウチ、タケル先輩の体を見たんよ」
「!?」
「凄い傷だらけで、なんでこんなことになったんやろって思った」

 それは刹那も知っていた。修学旅行でアスナと風呂に入っていた時に偶然その傷を見たのだ。それをタイミングは違えど木乃香も見ていた。

「あ、あの……それは……その」

 自分のことですらないのに必死にタケルのフォローに回ろうとしている刹那に、木乃香はクスと微笑んで、「やっぱり」と呟いた。

「せっちゃんも知ってたんやね?」
「……へ?」
「あんなにいつも普通やのに、本当はどれだけ苦労したんやろ? 本当はどんなこと考えてるんやろ? 何でウチラの先生になってくれたんやろ?」

 ふつふつと。

 木乃香は言う。

 微笑みながらも、目は心配そうに。

 語りながらも、口調は慈しむように。

「ネギ君も色々抱えてて皆に心配してもらってるけど、先輩は誰に心配してもらってるんやろ? 誰に悩みを打ち明けれるんやろ?」

 ちらりと、気を失っている楓に目を配る。

 その瞳には嬉しそうな色が混じり、それでいて悲しそう。
 一陣の風が吹き、彼女の長い髪をかきあげた。まるでそうなることすらわかっていたかのように、一度空を見上げて視線を刹那に戻す。

「先輩は何にも言わんけど、やから。ウチらで先輩のこと少しでも理解できたら、先輩が少しでもホッとしてくれたら……だからその為にも先輩が何してるんか見届けんと――」

 ――そやろ、せっちゃん?

 にっかりと微笑む。

「……」

 声が出ない。

 圧倒されていた。

 タケルの体に残る傷は生易しいというレベルものではない。漫画やアニメでたまに見ることのある、見方によれば格好いいと思われるような、そんなモノではない。

 傷跡はおびただしく幾重にも走り、体中を駆け巡っている。重なりすぎた傷は肉を抉り、盛り上げる。

 修学旅行で刹那が見たときですらそんな有様だったのだ。南の島で木乃香が見た傷というのは、修学旅行の後。つまり、あのときに一度死に掛けていたタケルの傷痕は、さらに酷くなっていたことだろう。

 最早グロテスクでしか
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