第34話「ネギまと俺〜倒錯する想い〜」
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胸が苦しかった。
タケル殿に『さようなら』といわれてまだ一日。こうして向き合っていて何も感じない筈がない。何も思わずにいられるはずがなかった。
それでもこうして戦えていたのは超殿を殺すかもしれないという恐怖を、未来の事実が示していたからだ。
――そんなはずはない、と。
ずっと思っていた。ずっと考えていた。
けれど、目の前の真実は酷なもので。
彼は刃を突きつけられて諦めるどころか、戦いを始めた。
彼の様子に違和感を覚えだしたのは、思えば学園祭の前日からだった。徐々に遠ざかっていく。徐々に見えなくなっていく。
そして、気付けば大和猛は今や敵。
何があったのか。何をしようとしているのか。震えそうになる自分を必死になって奮い立たせる。
――こうなったら力づくでも聞き出すでござる。
彼の強さは、驚くほどに不思議だった。その圧倒的な速度、力。そして、いつ攻撃したのかもわからぬ不思議な爆撃。
油断は出来ない。だが、今まで感じてきた圧倒的な強さを彼からは何故か感じなかった。
――……先ほど見せた爆発的な殺気も、のどか殿を気絶させるだけに留まったでござるが?
何かが、違う。だが、大事なのはそこではない。
大事なのは今なら取り押さえることも不可能ではないということ。
刹那と示し合わせ、飛び掛らんと武器を構えようとしたときだった。
突如、彼がその口を開いた。
「全く、ネギも馬鹿だな」
声が大きい。
いきなりのことについ首を傾げた。こうやって対峙している時に無駄な話をするような人間ではないことは既に理解できている。
観察するように、注視する。警戒を厳にして、一挙手一投足すら見逃さない。
タケル殿の視線は目の前の二人を捕らえつつも、視界の端では倒れているネギ坊主、抱きかかえるアスナ、それに回復魔法をかけている木乃香殿。そしてそれを心配そうに覗き込む残りの面子を捉えていた。
――また、何かやろうと?
「宮崎さんの心配などしなければ、ああやって気を失うこともなかったというのに」
やれやれとため息を吐いて、まるで本気で呆れているかのように振舞う。
その表情に、違和感。
いつもの無表情に、ただ焦りが溢れていた。そして、それには見覚えが。
――あれは……図書館島での?
そして、それに気付いた瞬間、全てが繋がった。
一旦は戦いを止めようとしたはずなのに、急にまた戦いを始めた、その矛盾。まるで何かに焦るように戦っている、その姿。
それはつまり――。
――図書館島で現れたような化け物が姿を現すということでござるか?
ほとんど直感のよ
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