相対するは覇王と道化師
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なんだ」
その真剣な眼差しを覗いて、何故、と店長がそれ以上聞く事は無かった。
静かに、酒を嚥下する音だけが響く店内は暗い。
店長も自身の杯を傾けて、きつい酒を喉に通した後、熱い吐息を宙に溶かした。
「明日の朝も早いので私は寝ます。帰る時に裏口の鍵はいつも通りの場所から店内に放り込んでおいてください」
「ああ、分かった」
おやすみなさい、と言って最上階の部屋に上がっていく店長を見送り、
「気ぃ……使わせちまったなぁ」
秋斗はため息を一つ。
なんとはなしに暗闇の階段を見つめ続けること幾分、カウンターに視線を戻す。
この一本を開けるまで、と決めた所で……最後の一杯しか注げなかった。
また大きく一つため息を吐いて、彼は一気に杯の酒を飲み干した。
熱さを宙に溶かす。心の内も同時に出てきた。
俯き、震える吐息を漏らし、ポタリ、ポタリと雫が落ち始める。口は笑みを浮かべていた。
「……っ……クク……俺には……誰も、救えない。だから……きっと黒麒麟を慕っていた、あの子の為に――――」
――乱世に華を、咲かせよう
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