相対するは覇王と道化師
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を込めたほうが何事も潤滑に回る、というのね? けれど、引き締めておかないと気性の荒い民には舐められてしまうからそういう部隊は必ず必要でしょう?」
「部隊単位、しかも常時はさすがになぁ……生真面目な強面ばかりで迷子の子供とかの対応に向いてないし。そういった細かい配慮や柔軟な対応は西区の方が出来てる。西区担当は確か……于禁って人だったか? その人の配置した部隊は民からの評判がかなりいい」
「ふむ……まさか沙和の作った警備隊の方が民に気に入られてるとは……あの子の優しい気質からかしらね。まあ、東区のそれは凪……楽進が振り分けた新入りの多い場所でしょう。古参のモノは慣れてるから問題は……確かに古参が居ても変わらなさそうだわ。あの子はちょっと真面目過ぎるきらいがあるから……って言ってもあなたのせいでもあるのだけど?」
「俺? ああ、前の俺か。一応辿ってきた道筋は大まかに聞いたし、黄巾の時に関わりがあったのも聞いたけど細部までは知らないな」
教えて欲しい、というのが華琳には透けて見えた。
――分かり易い。あの嘘つきは……敵以外にはこれほどまでに見透かしやすい男だったのか。
丁度空気も変わった。
中々に楽しかった時間も終わりとしよう……と、すっと目を細め、手に持っていた杯を机に置く。
それを見て、秋斗は哀しげに視線を机に落とし、華琳に倣って杯を降ろした。
「楽しい時間は及第点、と言った所ね。ありがとう。此処からは王と客分の時間としましょうか」
顔を上げて視線を合わせる秋斗の瞳には怯えが揺らぐ。
――何をそんなに恐れているのか……雛里からも聞いたから分かっている。この男は――――
「曹操殿、楽しい時間を終わらせたなら、まず初めに話したい事があるんだ」
華琳が口を開くよりも前に、秋斗は目に強い光を映した。
平坦に紡いで隠そうとしても、感じ取れる悲痛な声音は怯えが含まれている。何を聞くつもりなのか、きっと予測の通りだろうと華琳は小さく鼻を鳴らした。
「……言ってみなさい」
目を瞑り、一瞬の逡巡をした後で、秋斗はゆっくりと……華琳にはバレバレなのだが、どうにか自然体を保とうとしながら言葉を紡いだ。
「鳳統ちゃんは……大丈夫か?」
茫然。彼は華琳の斜め上を行った。
真っ先に秋斗が口にしたのは自分のこれからでは無く雛里の事。
自分は人を殺すのを恐れている、とでも言うと思っていた。それを言った上での返しも用意していた。されども、彼が気にしていたのは全く別。
口に出した途端、秋斗の瞳からは心配の色が溢れ出ていたが、華琳に読み取らせまいと表情を変えずにじっと見つめるだけ。
「……ええ。今回の戦では主だった将も軍師も全員大事なく生き残った。雛里……鳳統は徐州掌握の為に残して
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