第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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―煩いよ、傀儡風情が」
無慈悲な地声でその機体に手を触れ――――錬金術により、瞬時に『卵のような二本足』に変えて。
『こいつをサイドカーにすれば、問題解決ニャア。バイクを取ってくるから、少し待ってて欲しいナ〜ゴ』
お道化ながら、煙草を路面に投げ棄てると歩き出す。紅い軌跡を残した煙草は、アスファルトに当たって一際輝いた刹那、暗闇に沈む。
その黒豹男を、傍らでゆらゆら揺れる『元・ロボット』を眺めて――――
「……ホント、結局なんなのかしらね、あの能力? 滝壺の『能力追跡』でも追いきれなかったんでしょ?」
「滝壺はそう、言ってました。麦野が調べた限りでも、似たような能力はあれども超正体不明だそうです」
囁くように、少女達は語り合う。今日の目的の一つは、彼の能力の仕組みを暴く事。どうやら、腹を探りたいのは互いにらしい。
「文字通り、『正体不明』な訳ね……」
つん、とつつけば、それだけでバランスを崩したハンプティ・ダンプティが転んだ。後は足を蠢かせているのみ、立ち上がる事はできないらしい。
未だに尻尾も掴めない、その能力。いや、尻尾ならば……これ見よがしに、スラックスの後方から異常に長いベルトの残りを尻尾の如く垂らした、そんな後ろ姿ではあるのだが。
「……ですが、収穫なら超有りました。私の『窒素装甲』を、アイツは無力化しました」
「えっ、マジ!? あ〜……分かってましたよ、ええ。アイツは、絹旗に普通に触れた訳だし……つまり、アイツの能力の根本的な部分は『空力使い』みたいな気体操作?」
睨まれ、慌てて考え、フレンダは辛うじて正解に辿り着く。だが、的外れだ。
そもそも、彼女達は『魔術』を知らない。知らないのだから、真理に等は辿り着けない。『錬金術』等と、夢想だにもしまい。
「どうでしょう。それなら、私に殴られても超効かない筈です。何せ、能力無しなら私は超か弱い女の子ですから」
「……ソ、ソウデスネ」
「何か、超言いたそうですね、フレンダ?」
再び、白い目をしたフレンダが最愛に睨まれた瞬間。目映いハロゲンの光と腹に響く機関音が二人に近付いてきた。そう、黒豹男の跨がる――――ハーレー・ダビッドソンが。
『旧式でゴメンニャア。けど、オイラどうも、古い物が好きなんだナ〜ゴ』
等と、愛想を振り撒くように。転がっていたハンプティ・ダンプティを蹴り――――サイドカーに変えて。
『さぁ、二名様ご案内ニャア。行く先は――――』
黒に染まる空、星明かりすらない。地上の光に駆逐され
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