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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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ー》』の率いる暗部組織である。

「そ。そのせいで、他の組織は『スクール』とバッティングして返り討ちにされたりしてるらしい訳よ。まだ、『未元物質(ダークマター)』本人は出張(でば)ってないらしいけど」
『勘弁してほしいニャア、命が幾つ有っても足りないナ〜ゴ……て言うかこの男、よくもまぁその状態で今も生きてるニャアゴ』
「全くですね。超悪運の強い奴ですよ」

 面倒そうにアイスコーヒーを啜るフレンダと、口許をナプキンで拭って最愛が口を挟む。割と空腹だったのか、皿はもう空だ。

「御代わりは如何ですか、可愛らしいお嬢さん(リトル・ミス)?」

 と、その皿を下げてテーブルを拭いつつ、店主(マスター)がニヒルな笑顔と共に最愛に喋りかけた。
 あらゆる女性を虜にしそうな、色黒の美男。魅惑のロートーンヴォイス。年齢・国籍不詳。店の菜譜(メニュー)と同じだ。だが、暗部で生きる彼女らに多寡がイケメン風情――――

「あ……は、はい、超頂きます」
「あ、私も私も! お代わりお願いな訳よ!」
「承りました、代金はコウジくんに付けさせていただきますね」
「……リア充なんて皆、死に絶えればいいのに」

 ……なんて事はなく、彼女らもそりゃあ妙齢の婦女子である。照れて頬を染めながら頷いた最愛、一気にホットケーキを食べ終えてアピールを始めたフレンダ。
 そして男からしてもクールに応じたニアル、テーブルに肩肘を衝いてポテトをモソモソと齧りながら地声で一人ごちた嚆矢。

 夜は長い、のかもしれないと。

「そう言えば、コウジくん? 何か、私に聞きたい事があったのでは?」
「あぁ……そうでした」

 挙げ句、これである。本当に、『神様』のように、この男性は全てを見通していて。
 空恐ろしい。まるで、自分の全てが――――この男性の掌の上で、孫悟空のように、弄ばれているだけであるような観念を抱いてしまって。

「実は、『賢人の偃月刀』……これを創るのは、不味いかな、と」
「フム……不味くはないですが、使い方次第ですね。その先にあるものは、君の『右手』には余る」

 これである。やはり、知っている。今、嚆矢が何を望んでいるのか、何を為そうとしているのか。自分ですら気付かないものも、或いは知られているのではなかろうか、と。
 総て知った上で、彼はそれでも、この男に『信頼』を寄せたままで。

「しかし、そう――――それすら、越えたのならば。君は、更に上の存在となる。そう――――例えるの、ならば」

 恍惚と、見据える燃え立つ瞳。或いは、知らぬ人間が見ればお耽美な関係かと疑うほどの。
 だが、本人にとっては――――脂汗すら禁じ得ない。何故だ、何故、と。

「また一つ、階位を上げる。君は、虚空の螺旋階段を昇る。|想
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