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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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に。『耳元の録音装置』で聞いたばかりの台詞を告げれば、フレンダは怒りを露に地団駄を踏む。
 因みに、最愛の方は無関心そうにミルクとクラブハウスサンドを()んでいる。フレンダの方はアイスティーにバターと蜂蜜のかけられたホットケーキ、嚆矢はフィッシュ&チップスにアイリッシュコーヒー。

「『表層融解(フラックスコート)』……確か、その名の通りに『表層』を『融解』する能力だったニャアゴ?」
「そ。でも、この男の場合は『表層を融かした跡の表層も融かせる』、ウザい能力な訳よ。人呼んで、『突貫熱杭(バンカーバスター)』だとか。先に捕縛しようとした組織は装甲車まで繰り出したけど、装甲車()()貫かれて失敗したらしいわ」

 二つ名の響きから何と無く能力を察するままだった。監視カメラの画像か何かだろう、あまり画質のよくない携帯の画像には、周囲を取り囲んだ装甲車。しかし――――一瞬でその車体には大穴が穿たれ、捻じ切れるように爆散していく。人も幾人、巻き添えで。まぁ、確かに閉じ込めておけそうにはない能力名である。
 観劇の合間の軽食宜しく、口許のチャックを寛げてフライを食む。魚と塩と油とケチャップの、雑な味わい(ハーモニー)が広がる。

――しかし、流石は大能力者(レベル4)だな……マジ、戦術的価値を見出だすレベルだわ。
 何々、『厚さ十メートルのコンクリート壁を貫くのに二秒フラット』? オイオイ、化け物じゃねぇかよ……。

 そこで、目に留まった対象の能力の強度。それは、嚆矢の『錬金術(アルキミエ)』……本来的な『化学技術』の範疇を越えた、某ダークファンタジー風の錬金術。ソレを行使する、彼の琴線に触れた。

――俺の『錬金術(アルキミエ)』は、最低でも五秒は対象に魔力を流して『走査(チェック)』しないと、組み替えはできない。分解するだけなら、一瞬でも出来るが……皮と肉を抉るくらいで精一杯だ。
 それより早い……か。上等、俄然()る気が出てきたぜ……!

 腕を組み、体重を椅子に預けてニタリ、と。覆面の表は嘲笑に、奥は克己心で牙を剥く。その剥き身の刃じみた殺意を、一切たりとも隠さずに。

「けど、結局、問題はそこじゃない訳よ。この男が、元『スクール』の構成員だって事が問題なわけ」
『あぁ……第二位(ダークマター)の率いる組織かニャア。成る程、向こうも面子の為に、こいつを狙ってるナ〜ゴ?』

 フレンダの言葉に、記憶を漁る。昔、能力開発実験の合間に得た……反吐が出るような知識を。
 『スクール』。暗部で知らない者は、まず居まい。この『アイテム』のリーダー、第四位・『原始崩し(メルトダウナー)』『麦野 沈利』と同じく超能力者(レベル5)の、()()()『|未元物質《ダークマタ
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